東京の11月は、菊まつりが華やかに開催中です!/11/14=旧 閏9/22・己丑

東京地方の菊まつりは…。

まずは、谷中の菊まつり&浅草寺の浅草菊花展が10月中旬にスタート。
ついで、亀戸天神社が10月26日、高幡不動尊菊28日が若干気の早いほう。

そして、11月に入ると、湯島天神をはじめ、どどっと堰を切ったように菊祭りがスタートします。

しかし、温暖化の影響もあるんでしょうか、今年の見ごろはまたそれからしばし待ち。
まつりも終盤をに近づいた今頃が、いちばん見事な感じがします。

菊祭り

重陽の節句(9月9日)以降の菊は、実は、すべて「残菊」と、少し哀しく呼ぶんだそうで。
旧暦時代の五節句が、日付のまま新暦にふりかわったせいで季節のずれが甚だしく。

その「残った菊」の時期に入ってさらに待つこと約2ヶ月半。
…という計算ですね。

一方、菊は、日照時間が短くなって外気が冷たくもなった晩秋の頃に咲き始め、丈夫なものは露地で越冬する植物。

ああ、この季節感のズレ、なんとかならないものかしらねぇ…とも思う。
といっても、きれいだし、面白いし、まあいいかっ。

日本に菊が入ってきたのは奈良時代とも平安時代とも。

日本人と菊の歴史は長いけれど、この菊細工を並べて観賞して楽しむスタイルは江戸も中後期になってからのものらしい。

その背景にあるのは、戦乱の世が終わり、平和になった江戸時代に起こった空前の園芸ブーム。
熱心で腕も知恵も秀でた江戸の植木職人たちが、もちろんその立役者です。

「菊細工」は、花や葉っぱで作った「菊人形」から始まって、植木職人たちの街・染井、巣鴨で、花のショウルーム代わりの見物料無料だったこともあって庶民の間で盛んになります。

それが、駒込、白山、根津谷中と広がってゆき、特に団子坂のそれはことに有名だった。
江戸から明治に変わってもなお全盛を極め、一時は秋の東京の一大風物詩とまでいわれました。
しかし、菊人形が木戸銭を取る大仕掛けの見世物となってのち団子坂のほうは廃れ、やがて、時代に波に押されるように菊細工の見世物自体もあっさりと消えてゆきます。

現代の東京菊まつりでは、江戸の技の継承を楽しみます

今は、団子坂の菊祭りも復活!
加えて、浅草寺、巣鴨、湯島、亀戸などが主だったところですが、すべて第二次世界大戦後、昭和も半ばに入って復活をとげたものばかりなんだとか!

ちょっとびっくり!!

多くは、寺社の境内などを開催場所とし、商店街などが舵とりをしたり、氏子が世話人をつとめたり…やはり、庶民のまつりとして再スタートしたのも興味深いものですが、なにより凄いなぁと思うのは、伝承された菊栽培の技です。

まずは、百聞は一見にしかず、湯島天神に展示されたものから少しならべてみましょうか。

・存在感溢れる、小菊の「懸崖つくり」。

懸崖つくり

断崖の上から垂れ下がっているような様子からこの名がついたそうですが、大きく豪華なカタチが、実は一本の苗によって作られている…というのが驚きでもあります。

・一本の苗から仕立てるといえば、「千本咲き」も同様。

千本咲き

一本の苗に摘芯を繰り返し育てるのだそうですが、そうと説明されても一体コレがどういう構造でなりたっているのか?
理解の及ぶ外にある技としかいえない凄さです。
ほかには、一本の菊を茎を短く頭でっかちに育てた「だるま」「福助」などという可愛い定番ものなども。

江戸からつづく古典菊の饗宴も面白い。

・「巴錦」の名のとおりあでやかな菊。

巴錦

花びらの内側が真紅、外側が黄金色の豪華バージョンの菊は、葛飾北斎の肉筆「菊図」に描かれた品種でもあります。

・「江戸菊」。

江戸菊

これは、かつて江戸で作られ、盛んに栽培された「古典菊」のひとつなのだとか。

・「管咲き」とは、花弁が管状になっている種

管咲き

・大菊の典型、「厚咲き」の菊。

厚咲き

はーっ、いずれも美しいですねぇ。

最大の見せ場は、「菊花盆庭」と「菊人形」

「盆庭」は、大きなスペースをひとりの職人が受け持ち、さまざまな技を尽くして、菊花だけで、ひとつの絵を作りこみます。

このページのいちばん上の写真は、孔雀をテーマにした盆庭ですが…。

盆庭

今年のモノは、トリが菊に埋まっているようにしかみえないなぁ…。
職人さん代替わりした? いや失礼。

ほかにも京都・大文字焼きの光景とか富士山とか、七福神の宝船など、毎年テーマが決められ様変わりします。

「菊人形」は、いつもお約束の大河ドラマから。

菊人形

今年は軍師官兵衛が主役のはずですが、なぜか信長(向かって右)と濃姫(中央)のほうが目立っております。
こうくるなら、官兵衛の妻・光さんとふたりではないですかね。
せめて、秀吉&おねさんとか?

ということで、湯島天神一か所でも、みどころはたくさんありましたね。

幕府や藩に職人たちが抱えられ、裕福で大掛かりなこともできた江戸時代も去って久しく。
この現代に、腕一本の植木職人たちによって、よくぞ、これら技がつながれてきたものだ
…と、関心しまくり感謝することしきりの菊まつりです。

都内といえど、開催される場所によって、趣向もいろいろなので、いろいろ廻ってみるのもいいかも。

ちなみに私のおススメは、この「湯島天神菊まつり」と、巣鴨の「すがも中山道菊まつり」(うっ!今日まで!!)
ちなみに、「すがも…」には、菊で作ったジオラマとか回転する巨大な菊人形なども登場します。

◆今日は、2014年11月14日/旧暦 閏9月22日/長月己丑の日
◆日の出 6時15分 日の入16時35分/月の出23時09分 月の入11時49分

◎東京都内の菊祭り→花の名所「首都圏の菊まつり」