12月13日。江戸市中では揃って大掃除の日「煤払い」です。で、我が家も大掃除にみこしをあげます/12/13=旧10/22・戊午

12月に入ると、ココロが急くのはなんででしょうね。

で、ムダに焦って過ごして、今日はもう師走の13日っ!!

ああ、そろそろ、少しずつでも大掃除を始めなければっ!
…とにわかに掃除道具など並べてみた。

大掃除
カタチから入ってもしょうがないんですが、焦り始めた今日が、江戸の大掃除の一日と知ってしまったもんでして。

だから、道具も箒とか雑巾とか(笑)。

まったく影響されやすいやつで恐縮です。

江戸の12月13日は、市中を挙げての大掃除の日「煤払い」の一日でした。

そもそも「江戸城の御煤納め」が、12月13日。
やがて、それにならって江戸に住まう武家から町人にいたるまで、この日を前後して「煤払い」をするようになったというのが実際のところのようです。

とにかく、江戸市中では、今日とその前後で一斉に煤払いをしたみたい。
なんか、想像するだにすごそうです。

「煤払い」は、新年に歳神サマを迎えるにあたっての重要な行事

実は、単に掃除が目的ではなさそうです。
一年の汚れを落として清める=一年の厄を祓うと見立てた。
…というのが、江戸時代らしい。
というか日本人らしい。

ひとくちに「煤払い」といっても、江戸城内にはそれなりの、武家、神社に寺、裕福な商家・旧家などにも、それぞれに。
細かい儀式しきたりがあり、それらを守ったうえで煤を払ったようなのです。

ああ、なんかさらに日本人だねぇ。

その様子が、『絵本江戸風俗往来 』(菊池貴一郎 東洋文庫)にありましたので、ちょっと引用してみましょう。

・商家バージョン

<その節は平生出入りの職人、ならびに召し抱えたる鳶の人足幾人となく着たりて、手伝って掃除をなす。終わりて祝儀目録金・手拭など貰い、例年定めの酒肴の振舞に飽きて帰る>

「例年定めの酒肴に飽きて帰る…」が可笑しいですが、年末の繁忙業務の都合から煤払いをするのはなんと夜中。盛大に酒盛りなど始めては、朝になってしまいますので、早々においとましたのも道理かもしれません。
ともかく、祝儀を払って人を呼ぶなど、ずいぶんお金をかけ大掛かりだったようです。

・武家バージョン

こちらは、幕府に倣って煤払いの式を行ったようですが、振舞われる一般的なお膳の中味が興味深いのでそこを引用。
<膳部は里芋・大根・牛蒡・人参・焼き豆腐。田作の平盛(ごまめのひらもり)・豆腐の味噌汁・大根・人参の生酢・塩引鮭の調理にて酒を酌む>

もちろん、<勿論、家例により大同小異ありと知るべし>と断りを入れてありましたが、この豪華さは、もう正月料理そのもののようです。

商家をはじめ町人たちの間では、蕎麦の振る舞いなどもあったよう。
<交際上煤払う家、蕎麦の贈答の遣り取りをした>と。
こっちは、大晦日の年越し蕎麦??

「煤払い」とかいって、食べ物的には、すでに年末年始がいっぺんにやってきた感じです。

・江戸城内バージョン

こちらは、詳しく書けば長くなってしまいますのでお女中の件を少しだけ。
<奥女中の普段用いる手拭は白の晒し木綿とされたが、その日は染め模様入りの品を使うことが許された。>
…というのが面白い。
手拭って頭に被って使ってたんででしょうね。
それがこの日だけ模様が入ったものが許されて華やかになっている。

つまり、「煤払い」は大掃除をするには違いないけれど、日常の「ケ」ではなく「ハレの日」だったということでしょうか。

こうして、江戸中揃ってお祭りを祝うかのように、みなで一斉に一年の汚れを祓う一日が、ちょっとうらやましいですね。

さてさて、江戸の「煤払い」に倣いましょうか。

といっても、ハレの日状態を真似るのではなく、今日から観念して大掃除を始める日にする。
特に、煤払いに敬意を表し、天井の埃を払うところから始めようかなぁ。

江戸市中で売られた長い笹竹製の煤払い道具などはありませんので、道具は、写真の長ほうき。

長箒

…と床掃除のコレ。

モップ

写真のように長箒で天井をささっと掃いたのち、このように科学雑巾にてこする。

天井掃除
(ちなみに、床に落ちたホコリも同様に箒で掃いてとって、科学雑巾で拭く。)

たったこれだけですが、見上げた天井が清清しく輝くようで、「掃除をする」ということの威力をかなり相当に実感し、ココロがすっきりする不思議。
真実、1年積もり積もった厄災のもとを全部キレイに祓ってしまったような気分になります。

さあ、今年もあと約半月、風呂やらキッチンやらの掃除を毎日少しずつ進めつつ、そろそろ年の瀬に向けてアレコレと準備しはじめなければなりません。

◆今日は、2014年12月13日/旧暦10月22日/神無月戊午の日
◆日の出 6時41分 日の入16時28分/月の出22時46分 月の入10時55分