田舎で育が東京に来て、最初にさびしく思ったのは、勝手に焚き火ができないことだったな
…と思い出すのは、松も明け、さて、お正月の飾りはどう始末しようかと思案し始める今頃です。
あるとき、東京にはどんと焼きの行事はないのかと調べ、
「江戸時代に火災予防のために幾度も禁止されやがて廃れた」と見つけ途方にくれた記憶もあります。
安物の注連縄飾りではあっても、依代としてそこに歳神様がいらしたとすればまさかごみ収集に出すわけにもいかないしなぁ…。
左義長、どんど焼き、とんど(歳徳)焼き、とうと(尊)焼き
…などなど。
地方によって呼び名も様々ですが、これらは、正月の松が明けた節目に行われる火祭りの行事。
正月の門松や注連飾りを焚き上げ、そこにお迎えした歳神様をお見送りするという意味をもちます。
まず、神社の境内や田んぼなど、広い場所に四方竹と注連縄などで結界を作る。
正月飾りとか旧年のお札、書初めなどを持ち寄って、そこにそれらを高く積み上げる。
この積み上げ方が、調べてみると場所場所によって様々な趣向があって面白いものです。
たとえば…。
何本もの注連縄で周りをぐるりと囲み、さながら藁のオブジェのようなものとか。
積み上げたてっぺんに、日の丸の扇子とか鬼の面とかを飾ったりするところとか。
形状もいろいろなら、炊き上げる作法もいろいろ。
心棒に孟宗竹などを使い、わざと爆竹のように爆ぜる音を出す。
…なんて地方もあるそうです。
作られた藁やお札の大山の前で、
祝詞をあげるなどの神事が執り行われたのち、点火。
いろいろな様式にて、お札・正月飾りを積み上げたとしても、その前で行われるのは共通。
藁や紙が主体の飾りやお札が、乾燥した冬の空気にさらされて、ことのほかよく燃えます。
ちなみに…。
・炎に煽られ高く舞い上がった書初めの主→習字の手が上がる。
・炎で餅を焼き食す→風邪除け厄病除けになる。
…あたりのご利益も共通みたいです。
やがて、竹が燃えて大きく爆ぜる音。
この行事は、盛大に上がる炎と爆竹音が醍醐味。
だから、火事に悩まされ続けた江戸の町でこんな行事がおいそれと見過ごされる道理はなく。
小さな焚火すら禁止の東京都内なら、まさかやってる場所もないだろなぁ…。
いやありますよ!浅草の鳥越神社とか。
鳥越神社のとんど焼きは、本日1月8日。
長らくすたれたままになっていたこの行事だったのを、氏子の方々が復活させ、長く守り続けられているのだそうです。
実は、上の炎激しき写真は、昨年のお焚き上げの様子。
そして、神事→点火の前に形作られたのがこちら。
正月飾りやお札の山に、注連縄で覆って神棚を飾る、その意匠が素敵です。
お炊き上げの神事は、本日13時からだそうです。(リンク先は台東区のページ。天候によって変更もありだそうです)
なので、興味がある方は、ちょっと早めに出向いて点火前のものもどうぞご覧ください。
◆今日は、2014年1月8日/旧暦11月18日/霜月甲申の日
◆日の出 6時51分 日の入16時44分/月の出19時43分 月の入 8時22分