七十二候は「半夏生」に入りました。美しい半夏生が咲く時期でもあるけど、妖怪ハンゲがうろつくころでもあるってよ!?/7/2=旧5/17・己卯・満月!

季節の暦・七十二候は、今日から「半夏生(はんげしょう)」に入りました(7月2日~6日)。

本来の意味は、「半夏(=烏柄杓・からすびしゃく)という薬草が生じるころ」らしい。
薬草かぁ、そういえば図鑑でしか見たことないなぁ…と、一応、薬草園がある小石川植物園へ。

からすびしゃく名札
うーん。
場所は確保されているけど生じてませんねぇ…。
小石川植物園って、どうもこうゆうこと多いような気がしますが…(靭草も同様だったし)

薬草としてはかなりポピュラーな種なんだそうですが、植物というよりモンスター?(⇒こんな感じです/さいたま市の荒川堤と水田の花より)

「半夏生」と聞けば、こっちのほうがなじみが深い

梅雨に入ったころに、ささやかにつぼみが育ち、葉っぱの一部が白く染まり始めるこの植物。

半夏生 皇居

この種の名が「半夏生」であるのは、まさに七十二候「半夏生」の時期に、花が咲き、葉っぱが白くなるから…らしい。

半夏生白く

この様子が、半分白粉をはたいた様に「半化粧」(実際そう呼ばれてもいる)→「半夏生」ってことかもね。

この不思議な草は、我がご近所では人気らしくて、ちょっと歩けば見つけるのは可能。

…といってるそばから、ほらね。

半夏生 群生

大きめのプランターに群生しちゃってる(おおげさ?)のをみつけっちゃった!

「半夏生」は、「七十二候」も「雑節」も兼ねる

「雑節」とは、中国からの輸入品である「二十四節気」や「七十二候」ではカバーできない部分を補足する日本独自の「暦」。

主たる目的は、なんといっても農事の目安で、「半夏生」の日を過ぎても田植えが終わらなければ、いつもの半分も収穫が望めないとされていました。

農家は、どんなに天候不順で田植えが遅れていても、半夏生までには田植えを済ませ、この日は農事を休むことを、ひとつ目標とした。
そんな重要な日だったようです。

でも、もう7月だもんね。
平成時代の日本の田植えは全国津々浦々終了しているはずかなぁ…と。

6月下旬に帰省した東北の田んぼ。

6月下旬の東北のたんぼ

田植えどころか、もう稲はすくすくと生長をはじめておりました。

この暦がメインストリームだった江戸時代は、さまざまに繰り広がる気象条件に対応できる技術も少なく。
その年によっては、ホントに半夏生まで田植えが間に合わなかったこともあったんでしょうね。

「半夏生」の群生を見たければ…。

いま個人的にブームの皇居東御苑がおススメです。

ちなみに、このページのいちばん上の写真が、6月上旬の皇居の庭の「半夏生」。
二の丸庭園の菖蒲田からひかれた小川のほとりに、たくさん植えられております。

プランターの「半夏生」が、白くなっているのだし、植生を守って植えられる東外苑の「半夏生」もさぞかし美しいのでは…
と見に行ってみました。

皇居の半夏生

ああ、白いところは少ないけれど、やっぱりプランターにはない美しさです。

花も咲いてます。

半夏生の花
なんとなくひっそり、気品あるたたずまい。

「半夏生」が美しいころは、そろそろ梅雨の後半です

それは、大雨が人びとの暮らしを襲う時期でもあって、その雨の名は「半夏雨(はんげあめ)」
洪水…となれば「半夏水」

ああ、この間の全国的なお天気の状況に似ています…。

昔の人は、「半夏生」の時期は「ハンゲという妖怪がやってきて、村をうろつき、毒をまく」とまで言い伝えたそうです。

めぐみをもたらす自然も、大雨や洪水となれば、怖い怖い。
…ってコトで妖怪?

となれば、前に戻って、暦のアイテムにモンスターみたいな「半夏(=烏柄杓・からすびしゃく)」を持ってきたのも道理かな?
…なんて思えてきますね。

◆今日は、2015年7月2日/旧暦5月17日/皐月己卯の日/満月!
◆日の出4時29分 日の入19時01分/月の出18時56分 月の入4時31分