東京地方の菊まつりはそろそろ終盤ですが、
今年は、このぎりぎりの時期がかえって見ごろかも。
というのも、菊が盛んに咲くにはやや気温が高すぎた今年晩秋・初冬。
なんか、まつり期間の最初の時期は、まだ菊が咲き誇った感じがしなかったりもする。
でもな。
新宿御苑・菊花壇展に、すがも中山道菊まつり。
浅草寺の浅草菊花展も、ああ、向島百花園・江戸花屋敷も、今日明日で続々と終わっちゃいますね。
湯島天神「文京菊まつり」ならまだまだ!
ここの菊まつりは、江戸人が作った菊ブームのエッセンスがギユッとコンパクトにまとまった風が面白く、菊まつり入門編にはもってこいかも。
ってコトで、「菊まつりを初めて見るんですが、どこがいいですか?」
と聞かれたら、湯島天神の「文京菊まつり」がいいですよ、とおススメしちゃう場所です。
それでは、以下にその理由。
細工物の菊はひととおりある。
小菊の「懸崖つくり」はもちろん。
断崖の上から垂れ下がっているような様子を菊で表現したのでこの名称。
華やかに咲く小菊をうっとり眺めたら、近寄って、鉢に植わった根元もチェックして!
この豪華なカタチが、実は一本の苗!とちょっと驚きます。
これも、一本の苗から仕立てる「千輪咲き」
一本の苗に摘芯を繰り返し育てる。
…との説明書きを読んでも、この細工がどうゆう構造でなりたっているのか毎年理解の外…なんですね。
まあ、きれいだからいいか。
「菊花盆庭」や「菊人形」と、華やかな見せ場もバッチリである。
こちらは、毎年楽しみな、文京菊まつりの最大見せ場!
「菊人形」は、毎年NHK大河ドラマの主人公たち。
今年は、「花燃ゆ」から、ヒロイン文(のちに美和)と、最初の夫・久坂玄瑞の婚礼シーン。
うーん、できれば角隠しも菊で作ってほしかったなぁとか。
仮に、大河ドラマが現代ものとか、衣装が地味めな江戸町人ものになった場合菊人形を作るのに悩むかもなぁ…とか。
突っ込んだり、変な妄想をしつつ眺めるのが常(←私がです)。
大河も来年&再来年と戦国モノが続くらしいので、まあいいか。
こっちが「盆庭」といわれる超大掛かりな菊細工。
「盆庭」は、大きなスペースにさまざまな技を尽くして、菊花だけで、ひとつの絵を作りこんだもの。
なんと、たったひとりの職人が受け持ち、絵を描くように作品に仕上げてゆくのだとか。
描くテーマも毎年変わって、今年は、シンプルに扇子と…。
昨年までのもので、記憶に残っているのを羅列すれば、京都・大文字焼き、富士山、七福神の宝船なんてのが浮かび、とにかく複雑にこだわった感じが続きました。
というコトで、今年のシンプルで分かりやすいのがかえって新鮮!
古典菊も丁寧な解説付きで展示
展示されるのは、毎年ほぼ同じ品種だし、ほかでも見られたりするんですが、逐一解説付きなのが、バリュー。
なので、ここでも、写真のある限り並べてみようと思います。
「巴錦」の名のとおりあでやかな菊。
花びらの内側が真紅、外側が黄金色の豪華バージョン。
葛飾北斎の肉筆「菊図」に描かれた品種ですが、生の菊花がすでに一服の絵のようです。
「江戸菊」。
江戸時代に、盛んに栽培されて、江戸市中で大ブームとなった「古典菊」のひとつ。
「管咲き」
花弁が管状になっているのでこの名前。
「厚咲き」
大菊の典型だとか。
はーっ、いずれも美しいですねぇ。
このエリアに引っ越してきてからずーっと通い続けて、もう10年目以上なので、毎年、同じモノ眺めいるんですが、飽きません。
菊酒、菊のお茶、菊被綿をかぶった菊まで
期間中毎日というわけではないみたいですが、運が良ければ、菊茶か菊酒のふるまいもあります。
おおっ!これが見られるって、けっこうラッキー!
大宮八幡宮のとはまた違った可憐さです。
重陽の節句(9月9日)以降の菊は、実は、すべて「残菊」呼ぶのだそう。
ですが、その「残った菊」の時期に入ってさらに待つこと約2ヶ月半。
…の今が、いちばん見事かも?
と思えちゃうのが東京エリアの、特にこの天神さんの菊まつりです。
菊は、日照時間が短くなって外気が冷たくもなった晩秋の頃に咲き始め、丈夫なものは露地で越冬する植物。
だから、実はいまぐらいがいちばんいきいきしていて当然なんですけどね。
ということで、湯島天神一か所でも、みどころはたくさん。
かつて、江戸時代には、幕府や藩に職人たちが抱えられ、裕福で大掛かりなこともできた菊細工。
それが、この平成の世にもちゃんとつながれてきたことを、腕一本の植木職人たち感謝しつつ。
今年の菊まつりもいよいよ終盤ですねぇ。
◆今日は、2015年11月14日/旧暦10月3日/神無月甲午の日
◆日の出6時15分 日の入16時35分/月の出8時09分 月の入18時39分