11月30日は、杉浦日向子さんの誕生日です。
好きな作家は、逝った日より誕生日が重要(←もち、個人的見解)。
だから、その日は著作を一冊とりだして、外出先へも持参して、暇を見ては読む。
ただし、好きな作家全部だと収拾がつかなくなるので、思春期に影響を受けた作家限定。
ってことで、今日は思春期の時期にぎりぎり出会った『百日紅』を持ち歩き読みます&眺めます。
昨年文庫も買ったので、今年はそれが可能。
いや、ホントは、杉浦日向子の著作は多数、他の本でもいいんだけどねぇ。
うーん。やっぱ、これだな。
オリジナルバージョンは、表紙が美しい3冊。
こちらは、その思春期に購入し、何十年も持ち続けている3冊。
ある日、足を踏み入れた書店で、最初に目に入ってきて、もう目が離せなくなった美しい表紙。
まだティーンエイジャーには高すぎる価格。
しかし、抗うことはできず、即決で3冊買っていたのでした。
読み始めて、北斎たち江戸の絵師のことを知り。
江戸の暮らしの潔さにはまる。
この美しい絵は、杉浦日向子による、江戸の絵師たちへのリスペクト。
ほらね。
よーくみてみて。
実際は普通の印刷なんでしょうが、版木で擦った、浮世絵っぽい工夫が見て取れます。
そして、中身は、その絵師の代表格であるひとり、葛飾北斎とその娘応為(おうい)を主人公に、奇想天外までもが日常の江戸の暮らしを描いた作品だったのでした。
日常生活に、ふと紛れ込むように「妖怪」や「魑魅魍魎」たちの気配があって、そこから生またかのような江戸人たちの死生観。
浮世絵師たちの生きざまに垣間見える、江戸人の粋。
教室で学んだ江戸の庶民は、為政者に締め付けられてた風な悲しい存在に思えたけれど、なんか違う。
どちらかといえば、最小限のモノで、豊かに飄々と暮らす潔い人たちで、かっこいいじゃん。
今年は、北斎の美術館までできちゃったし!
そうなんですよねぇ。
とうとう今月、オープンしたすみだ北斎美術館。
ホントなら今日は、『百日紅』をもって、こちらを訪ねてもみたいんですが、所用あり。
それは後日といたしましょうか。
しかし、あれです。
ミニマリストばやり、神社や寺社やにお参りするヒトも増えてる気配。
そこに、北斎の美術館。
…ふーむ。いちばん近しい日本人のルーツ=江戸を知って、今に生かす。
杉浦日向子さんが、その著作で語っていたあれこれが、世の中にすいーっと浸透してきたかもね。
杉浦日向子さま、お誕生日おめでとうございます。
亡くなったふりして戻った江戸の暮らしはいかがでしょうか?
(↑彼女は、2005年7月22日に、46歳という若さで逝ったけど、なんとなく、私はこんな風に思い続けております。)
◆今日は、2016年11月30日/旧暦11月2日/霜月丙辰の日/月齢0.6日
◆日の出6時31分 日の入16時28分/月の出6時44分 月の入17時15分
↓とりあえず文庫バージョン。