本職のニットデザインも素敵と思ってたけど、初エッセイ集には、がっつり心を掴まれました。読んだ端から続きが読みたい(*’▽’)

三國万里子著『編めば編むほどわたしはわたしになっていった』を読了。

ニットデザイナーとしての作品を目にして、気になっていた著者。
実際、既刊のニットの本も気になっていたけど、なぜか、初のエッセイ集が初めて手に取る一冊になった。

理由はこの表紙。
…のお人形の着ているカーディガン

編めば編むほど

こんなの編んでみたいなぁと思ったからなんでした。

といっても、これはエッセイ集。
もちろん作り方は載ってませんけどね(*’▽’)

このエッセイ集。なんで、こんな懐かしい読み応えなんだろう?

本書は成り立ちからちょっとユニーク。

収録されたエッセイのもとは、三國さんが、個人的に友人2人にメールで送って読んでもらっていたものだそう。
メールを受けた友人たちは、読んでその感想を返信する。
…とただそれだけの超個人的な営みが5年ほど。

それが、2022年、本に編まれた。

こんな珠玉の作品が、たった3人の間でやり取りされていたものだというのが驚きで、本になって、こうして読者の仲間に入れてもらった喜びひとしお。

読めば、なんだか不思議と懐かしい読み味で、だから、ゆっくり味わうように読んで、物語が残り少なくなって、名残惜しくなる。

この心地よい読み心地は、なんだろう?

なんとなく喉元までその理由が出てきているんだけど、答えがわからない。
でも、そんなところが、この一冊が纏った魅力だろうか。

うーん、あえて言うなら、気が合う友人に偶然知り合ったような気分…という感じか。
だから、もしかして読む人によって、好き嫌いの度合いが大きいかもしれない。

しかし、少なくとも、私は、がっちりココロを掴まれました。

物語は…。

まだ自分が何をしたいのかわからない若かりし頃の話、息子と母の味わい深い関係とか、夫となる人との出会いとその後の暮らし。
祖父母や両親、料理家である妹さんとのあれこれとか。
実は、ニットデザインの話とつながってそうでつながってなさそうな、誰もが持っていそうなプチ個人史…といったらいいだろうか?

そんな内容を丁寧に、そして率直に綴っていて、読み手はそこに慕わしさを感じるのかな?

そんな風に思いつつ読み進め、ああ、もう読了かぁ。
ああ、続きの話を聞きたいなぁ。
なんか、もっともっと知りたいなぁ…と思いつつ、今日はとりあえず、ゆっくりゆっくり本を閉じる。

タイトルの「編む」はこの場合ニットではなく、本の編集の「編む」なのかな?
三國万里子著 『編めば編むほどわたしはわたしになっていった』新潮社