渡辺有子著『料理と私』を読了。
洒落ているのに、手を出しやすいレシピが好きで、ほかの著作も書棚に多数。
そんな渡辺有子さんが、こんな雰囲気の本を出してたんだぁ~と遅ればせながら手に取った。
そして、本書を読んで、その理論的な料理の組み立てかたにちょっと驚く。
驚きつつも、簡単なのにうまくできるレシピ。
っていうか、これを作ろうと思った時、材料や作り方が意外なほど簡易でトライしやすいその理由がそこにあるなと思いいたった。
第二章「味とわたし」に読み進めば、もう一文字も逃すまいとメモメモメモ。
最初は付箋を立てて読み進め。
ああ、これじゃあ、理解が薄い…かも?
と思いいたり、ノートをとる。
何かの講義の予習しているみたいだ。
しかし、その内容を理解し、実行したら、なんか日々の料理が楽しくなりそうな気満々。
そこに書いてあるように作るなら、料理はシンプル。
しかし、作り手の数だけのオリジナルが生まれる可能性もあって、ああ、楽しいぞっ!
さらに、自分の料理に展開することができれば、私の暮らしも豊かになりそうである。
興味あるなら、第二章の「味の仲間」とか「習慣を疑う-出汁編」「同 -野菜編」あたりを立ち読みしてみるのをおすすめ。
そのあたりを読めば、おそらく「ああ、そうなんだぁ!」と思うことしきりのはず。
第一章と第三章の対比は、大きく見ると、世の中の動き
第一章「修業時代」は、渡辺有子という料理家がどうやって出来上がってきたかが興味深く。
第三章「これからのこと」は、料理家=レシピを作る、転じて、雑誌の記事や本をつくるという実績をベースに、発展させてゆく内容が面白い。
しかし、もっと大きく俯瞰してみれば、見えてくるのは働き方の多様化。
料理家のシゴトから通して、現在の働き方を俯瞰してみても、世の中ってずいぶん変化したなぁと思っても見る。
その変化の流れに身を任せているかのように見えて、渡辺さんの生き方は、しなやかで豊かだ。
↓とにかくなんとも深い内容の一冊。