浅草寺・淡島堂の針供養

毎年2月8日は、針供養の日。

harikuyou1

東京ならば、浅草寺の淡島堂のそれが盛んで、折れたり古くなったりした針を持参して、豆腐にさして供養します。

ということで、いつも静かな淡島堂のあたりがこの日だけは、けっこうな賑わい。
参拝に訪れる方々は、年配のご婦人が多いようで、お豆腐に向かって静々と針をさし「長い間ありがとう、ご苦労様でした」とお参りされています。

そのお姿。
なぜか、多くの方がここぞと美しい和装。
境内が賑やかなうえに、なんともまあ艶やかです。

そして、豆腐(巨大っ!)のほうも、マチ針の頭は、パステルカラーのピンク、黄色、黄緑などが目立ち、なとなくカラフルで可愛い。
かなり、賑やかなコトになっております。

harikuyou2

淡島堂のご本尊は阿弥陀如来ですが、針供養にちなむ淡島大明神ももちろん祀られています。
社務所で授与いただける御神影札に描かれているのは、かわいらしい女神像。
十二単のような着物を着て長い髪をたらし、冠をかぶっています。

ご祭神といい、境内の様子といい、そんなこんなで、針供養って、なんとなく可愛いイメージが漂う行事ですね。

浅草寺の淡島堂の針供養では、古くは仕立ての針に混じって、漁師らが持ち寄る釣針もあったと言い伝えられていますが、近年は、もっといろいろ。

家庭の針仕事で出た折れ針を供養するひとがメインのように見受けられますが、和裁学校の生徒、仕立て業、かつては、針灸師、たたみ職人や、レコード業界関係者まで針に関わる職業の方々がいろいろな針を納めにお参りしたのだそうです。

さらに、浅草寺経営の浅草寺病院からは看護師の方々が注射針を持ち寄るということもあったのだとか、この針だけは、安全性を考えて、新品の針というのが、現代らしいエピソードです。
(平成25年より、一人2~3本まで、裁縫用途の古針のみになり、それ以外の古針は預かっていただけなくなりました。お参りに行かれる方がいらっしゃったら、ご注意を!)

針供養は、物にも魂が宿るという、古来からの日本人の考え方に基づく行事。

がさがさと大量のものに囲まれていてはいちいち物の供養などできるはずもなく。

この行事は、最小限の良い物だけ持って、それを大切に使うことを尊ぶことでもあって、それはそのまま、すっきり潔い生活にも繋がるものなのではないのかな?