冬の去り際ギリギリセーフの酒饅頭/旧2/5・乙亥

今日の天気予報は雨だけど、さすがに、もう弥生3月。
やはりそろそろ本格的に春めいてきたな。
そうそう明日は二十四節気の「啓蟄」だしね。

…と、春に浮かれるココロの片隅で何か忘れているような…。

おおっと!コレを忘れてました!

シックながらも、なかなかに風格のある包み紙。

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落ち着いた赤の「虎」の文字。
添えらえたカードには、「虎屋饅頭」の勢いある筆致。

包みを開けますれば、怖い顔して虎の背に乗るお坊様です!
右手に持ってる饅頭の鉢はなぜ?

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なんて、知ってるくせに、私ったら、おほほっ!

更に開ければ、蒸篭の蓋が現れて、中には、白くむっちり。
大ぶりのお饅頭が顔を出します。

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ふふふっ…老舗とらやの冬の限定品、酒饅頭の「虎屋饅頭」です。

虎屋饅頭は、朝晩肌寒くなり始めた10月下旬から春先の3月下旬(今年は3月16日までですっ!)のみの限定商品。
つまり、年の半分しか食べられない希少品です。
…っていっても、お値段もボリュームの点からも、おなかいっぱいになりそうなんで、年に1回の楽しみで十分ですが(笑)。

とにかく、この蒸篭で蒸し直し、ほくほくふっくらしたところを食べるのがいっとう美味しく、ならば、なるべく寒い時期に食べたいとのこだわりが生まれる。

まだ夏の気が残る10月は避け、次いで、暖冬気味の11月、12月も我慢する。
1月はお正月のご馳走を食べ過ぎてつい忘れ、酒饅頭をほうばるのは毎年2月と決めてる私。

ですが、今年は、忘れた…ナゼだ??

こんなぎりぎりの3月になると、やっぱり、最高のときを逃したような気もしますが、食べ逃すよりは良しとしましょう。

虎屋の酒饅頭は、超本格派

酒饅頭は、まず、炊いた糯米に麹と水を加え、長い時間をかけて作った元種=酒種をつくり、それで小麦粉を発酵させて生地を作ります。
中に餡を入れしばし休ませたら、蒸篭で蒸して完成。
日本酒の仕込みが冬場なのと同じように、似た工程で仕込まれる酒饅頭の種も、暖かい時期は発酵に適さず冬だけのもの…ということでの期間限定なわけですね。

で、こんな作り方を知れば、ぜひともその蒸したてを食べさせていただけないか!とお願いしたくなるお饅頭。

虎屋茶寮のほうでは、虎屋饅頭1こにお茶付で1000円+αでいただけますが、風格あるパッケージングを知ってしまうと、やはり、おとなしく包んでいただいき家路に着いてしまう私です。

酒饅頭ミニ知識を少々

お饅頭は、仏教を学ぶために中国に渡った僧たちの帰国土産のひとつ。

もちろん酒饅頭もその例にもれずで、とらやのHPによれば、南宋から帰国した高僧・聖一国師が、その製法を持ち帰り、博多の茶屋の主人・栗波吉右衛門に伝えたのが酒饅頭の始まりとされるそうです。

写真の包み紙のお坊様は、その聖一国師さんなんでしょうか?

その後、吉右衛門の茶店の屋号の「虎屋」から饅頭も「虎屋饅頭」と呼ばれ、そのまま酒饅頭の代名詞になったのだとか。
実は、現在のとらやと吉右衛門の「虎屋」の関係は不明。
なのに、聖一国師が「御饅頭所」と書いて、吉右衛門に与えた看板は、とらやに今も保存されているそうです。

なにか酒饅頭をめぐってドラマが展開したかもしれず、興味津々なお話です。

ちなみに、聖一国師が現世で僧として活躍していたときの名前は、円爾(えんに)。鎌倉時代中期の臨済宗の僧でした。国師は国の師を意味する称号で、中国では、皇帝の師への尊称として贈られたもの。実際、朝廷や鎌倉幕府のリーダーたちの多くが聖一国師に帰依したと言われています。

ありがたいお坊さまの手によって、はるばる中国から渡ってきた、こちらもありがたいほど美味な酒饅頭です。

ああ、今年も食べることができて、よかったよかった。

◆今日は、2014年3月5日/旧暦2月5日/如月乙亥の日

◎虎屋饅頭の扱い⇒2014年は3月16日まで。

まだ間に合う!食べたい!と思ったなら、電話で確認してから来店をおススメします。
というのも、期間限定に加え、取り扱いも、京都と東京の5店舗限定なので、計画的に行動しないと逃します(って大袈裟か?)
公式サイトでチェック!