さてさて、2月の椿観察に引き続き、けっきょくやってしまいますよ椿観察3月編!
いつもの小石川植物園に行ってきました。
まずは、入口入って、梅のエリアに向かう途中にある藪椿を観察。
赤い藪椿は、ひたすらに満開です。
白藪椿も、めいっぱいに花開き。
終わった花は、地面でも一度花開いております。
実は、この散った椿も非常に情緒があるもんで、個人的にはかなり好きです。
ツバキ園の観察にゆくまえに、椿の花のうんちくもどきを少々
私たちのみじかに咲く花が、どのぐらいの昔から、日本にあったのかなかったのかを知るには、以下の書物を探すのがコツ。
『古事記』にも『日本書紀』にも登場する。
『万葉集』に詠まれている。
このふたつを満たせば、古くから日本人の歴史をともに歩んできた草木といってまちがいありません。
さて、椿の花はどうなのかというと…。
・『古事記』は、人代編の仁徳天皇と雄略天皇の伝説に、「葉広(はびろ)ゆつ真椿(まつばき)」=「葉の広い神聖な椿」として歌謡に詠まれ…。
・『日本書紀』では、同じく人代編の景行天皇が、直入県(今の大分県直入郡のあたり)の豪族・土蜘蛛を討つのに、「海柘榴樹を採りて、椎(つち)につくり兵(つはもの)にしたまふ」と、椿の木で武器を作った様子が描かれている。
・『万葉集』では、ちょっと少ないながらも9首の和歌が詠まれている。
以上は、椿が、ずいぶん昔から日本に自生していた花である証拠です。
椿の学名は「Camellia japonica」。ジャポニカのコトバを使う
椿は、昔から日本に自生していたということを超え、学術的にも、正真正銘、日本の花と言ってよく、さらに日本人に非常に縁の深い花と言えます。
「椿」という字は中国の漢字にもありますが、実は、意味は他の樹をさします。
厳密に言えば、「椿」の字は、漢字ではなく日本オリジナルで作られた「国字」。
木編に春、つまり、梅でもなく桜でもなく、古代から椿は春を告げる花として、ずっと日本人に愛されてきたということでしょう。
茶道でもその創成期から、椿は大変珍重され、今でも冬から春の炉の季節には椿が多く飾られ愛でられているのはよく知られるところです。
すごいぞ!椿っ!
江戸期の椿ブーム
椿は、江戸時代に入ると栽培ブームを迎えます。
ちなみに、その立役者は、将軍徳川家康で、彼は無類の園芸好き。
二代将軍秀忠も同じく。
特に、椿を非常に好んだのだそうで、その影響もあって大名家や公家はもとより、庶民の間でも大いに流行、江戸の植木職人によってあらそうように、品種改良がなされ、椿の品種もぐーんと増えた。
だから、品種に風流な名前が付いているのも、梅や桜といっしょです。
小石川植物園には、上の写真の薮椿以外に、ツバキ園には数多くの椿が植えられていて、ほぼ品種の名札付き。
おそらく江戸時代につけられたのでは?と想像される、「光源氏」「菊冬至」「初嵐」「乙女」..と、情緒あふれる名前とともに、花のあでやかさを楽しめておススメ。
ということで、観察スタートです!
3月上旬のツバキ園の椿。
◎雲龍椿(うんりゅうつばき)
なんか花より葉っぱが大きい椿…かな?
ポツンと咲いているところがカワイイ。
◎眉間尺(みけんしゃく)
なんで、こんな名前なのかは不明。
うーん、わからん。
◎源氏唐子
つぼみと…。
咲いた印象がかなり違うのが面白い椿。
◎君が代
おおっ、日本の国家を名前にもった椿もあるんだ!
椿というより、違う花みたい?
◎松笠
こちらは、蕾から…。
花のデザインが想像できる。
松笠という名は、八重だからかな。
◎大城冠(だいじょうかん)
名古屋城内の門外不出の「御殿椿」の一つだったとか。
こっそり持ち出されてこの名がついて全国に流通したという話を聞いたことがありますが、ホント?
◎菊更紗
もっと、きっちりツートンの花を見たこともあり。
同じ種類だったと思うが…。
ということで、3月上旬はこんな感じ。
椿観察<2月編>で咲いてた椿も、まだまだ元気でしたが、まだ合計24種。
うーん55種っていったいどんだけあるんだろう?
最後にオマケ。お雛さまみたいな赤と白椿
◎蜀紅錦(しょっこうにしき)
…という椿らしいです。
名前に「紅」の文字があるのに、白もあるのか、あるいは名札がとれちゃってわかりませんが…。
ということで、もう自棄!
4月編もやる予定です。お楽しみにっ!