どくだみが咲く季節になりました。
5月中旬のつい先日、爽やかさに浮かれて出歩いた時は、まだ路地の半日陰のあたりにハート型の葉っぱが出始めでした。
この草は多年草だから、そのハート型を眺めて「ああ、ここらは、どくだみの縄張りかぁ」などとぼんやり。
とか言っているうちに、近所の石垣にて。
あららっ!もう白い花が咲いている!
まるで、この石垣に1輪ずつ誰かが活けたみたいです。
こちらの空き家は、どくだみが浸食?
実際、この扉の向こうを覗いてみたら、庭の中はほぼ一面どくだみの花でした。
ふふふっ、コレはカワイイ。
どくだみは、ドクダミ科ドクダミ属。
どこまでいっても「毒」の名がつく気の毒にも思える植物ですが、江戸時代の百科辞典ともいえる『和漢三才図絵』にも、本草学者・貝原益軒の書『大和本草』にもその記載はすでにあり、ずいぶん歴史ある優秀な薬草でもあります。
つまり「毒(どく)」の名を持ちながらも、生薬として、ずいぶん多くの薬効を持つ「薬」としての役割が長く、ならば、なぜ名前がそのまま「どくだみ」なのか…。
鼻を寄せると、独特の匂い。
それが毒をイメージさせたとの説もありますが、
「なんだかそうとうに大人気ない命名ですよそれ」
とつっこんでみたい。
それでは、なんかもっと可愛い通称とかはないものかと、調べてゆけば、ドクダメ(毒溜め)とかジゴクソバ(地獄蕎麦)とか、別名はもっとなんだかおどろおどろしくなってゆきます。
何か名前に関しては踏んだりけったりな感じです。
ええぃ!可愛いから飾ってしまえっ!
「毒」とか名づけたって、どくだみは、咲き始めからして白い花が初々しくも可愛くて、空き地から一輪、二輪…と摘んで帰りたくなる佇まいです。
仮に、えいやっとむしりとってもいくらでも復活して生えてくる、非常に強い繁殖力を持つ草でもありますから、全然安心。
さらに、三輪、四輪、五輪…と少し多めにいただいてきて、空き瓶に一輪ずつ飾ってみました。
葉っぱのハート型は可憐なシェープを描き出し、花は淡い黄色に白と清楚な雰囲気。
洋風和風どちらの花器にも似合いそうだし、空き瓶に挿してもそれなりに生える。
なかなかどうしての存在感を発揮します。
さらに、ベトナム料理には香草としても使われるものだし、日本料理だって山菜天麩羅で食べたことあるぞ…とういうぐらいかいがいしい働き者。
何が「毒」かね、たいしたものです。
ちなみに、白い花と言い続けていますが、実はその部分は花ではなくて、中央の棒状の部分にある淡黄色のものが花なんだそうです。
確かによくよく観れば、小さな花が密生。
忘れていても毎年同じ場所に花を咲かす安心感からか、普段はややありきたりな草花と思いがち。
しかし、こうしてみると、様々な才能を持ち合わせ、加えて、なかなか不思議な魅力に満ちた花です。
それが、都会のなんてことない場所に群生しているなんて、私たちは、かなりな贅沢に気づかないで過ごしているのかもしれません。
しかし、どくだみの花が咲いたとなれば「ああ、そろそろ梅雨が来て蒸し暑くなるぞ」と覚悟を決める時期。
このどくだみの方は、入梅が来たと同時ぐらいに、もう街のあちこちの群生してゆき、ヒトが過ごしにくくなるのと反対に、その元気のよさは半端ではありません。
さあさ、どくだみが咲き始めました。
今年は、早々に梅雨がやってきて、蒸し暑くもなってきて、盛夏はもう目前ということです。
◆今日は、2014年5月23日/旧暦4月25日/卯月甲午の日
コメント
ミチル日々さん、こんにちは。
いつも、楽しく読ませて頂いていて。
ありがとうございます。
ドクダミとは、
毒にも痛みにも効くという意味の「毒痛み」からの名前とも、
毒を矯める(ためる=直す)ので「毒矯(どくため)」からとも。
もう一説には、悪臭があるので毒があるのでは・・・と、「毒溜(どくため)」から等も。。
個人的に私としては、
毒を矯める(ためる=直す)ので「毒矯(どくため)」・・・がしっくりです。
近いうちに、根津神社さんへお伺いさせて頂きたいです🎵
ミチル日々さんも、お健やかにお過ごし下さいませ。