七十二候は、「大雨時行」。雨…より、それを呼ぶ雲のカタチが夏/旧7/7・乙巳

今日8月2日から、七十二候は「大雨時行」

読みは、「たいう ときどきにふる」とか「たいうときどきにおこなう」で、時々、激しい雨が降る頃といった意味です。

って、もう激しい雨は、梅雨入りした6月からずーっと経験済みで、いまさらそういわれましてもねぇ…といった気分ですけどね。

まあ、季節感としては、梅雨入りしたあとの雨は、しとしとと静かに降る雨。
それが、梅雨明け近くなれば、勢い大雨にもなって、やがて梅雨明け。
夏は、カラッと晴れて、空には立派な入道雲。

そして、夕立。

…ってのが、正しい。

うーむ。
地球温暖化の影響なのかなんなのか、ここ数年の日本列島。
もう昔なじみの日本の気候じゃあないみたいです。

黒南風、荒南風、そして白南風

それでも、空の様子を、注意深く眺めていると、同じ大雨だって、梅雨と盛夏の違いは健在。

天候の見極めが、命を左右しかねない漁師たち。
海辺の小旅行で、水揚げされたばかりの魚をいただいた際、彼らのあいだでは、梅雨入りあたりの強い南風を黒南風(くろはえ)、その後の強い南風を荒南風(あらはえ)、そして、そろそろ梅雨明けのころの風を白南風(しろはえ)と呼んで区別していると聞いたことがあります。

「漁師さんには、風の色まで見えるんですねぇ!!」

真顔で感心する様子に笑いながら
「雲をみればわかるでしょう」
…と。

たとえば、梅雨明け直前に撮ったこの空なんかは、白南風(しろはえ)が吹くころの空…でいいかしら?

白南風

はじめ雨雲が黒く立ち込めた空を、風が、キレイに履いて、白い雲を残していった…といった感じ。

漁師さんの言う、雲の白も黒も、海上を覆う雲の色からとって、風に付けた名前だったのでした。

季節の違いは雲に聞く

そして、「大雨時行」の頃に入れば、空にはしっかり入道雲が!

入道雲小

こんな雲は、梅雨の間には、ついぞ見ない。
雲の様子は、きちんと、季節を教えてくれてもいるのですね。

やがて、やがて盛夏となれば、入道雲は、どんどん、元気に雲の面積を増してゆくはず。

谷中の入道雲

雲の動きも早く、あっという間に向こうの方へ。

入道雲

そして、うーん、美しい白と青のコントラスト!

しかし、あの雲の裾の黒ずんだ感じは、さっき我が家に夕立を降らせた雨の印でもあります。

夕立は、夏の午後から夕方、突然降るにわか雨のみの呼び名

そのほとんどを温帯地方に属する日本列島なのに、これって熱帯地方のスコール!?
といった状態の「にわか雨」というのも、ちかごろ珍しくありません。

それも夕立と読んでいいのかどうか、悩むところですが、とりあえず「夕立」は夏の季語。
多少、ゲリラ気味でも、夏なら夕立にカテゴライズオッケーとしておきましょうか。

つい数分前まで、強い日差しに辟易として歩いていたのに、いってんにわかに掻き曇る空。

突然聞こえてくる、不穏な雷鳴。

日差しが陰っても、蒸し暑さはそのままですが、とりあえず暑さをかなぐり捨てるようにみな家路を急ぎます。

家まであと数分で降り落ちてくる土砂降りの雨。

ああ…やられたぁ!!

と思いつつも、なんとなく夏場の雨なら許せるような、ちょっとココロ浮き立つような。
そこで、頭にポッと浮かぶのは、歌川広重の名所江戸百景 大はしあたけの夕立」…だったりすると、さらに雨もよしかなぁと。

そして、夕立がいったあとの空気の匂い。
暑気が払われた一瞬、夏草の匂いが空気に混ざったような清涼なにおいが好きです。

暑い中を雨に打たれつつ走ったせいか、なんとなく気だるい。

そんな雰囲気につつまれて振り返った空。
美しい夕焼けが西の空を染めていました。

夕焼け

明日も暑くなりそうですが、こんな夏の夕暮れはいやじゃあないかもしれません。

◆今日は、2014年8月2日/旧暦7月7日/文月乙巳の日