七十二候は「鶺鴒鳴」…。鳴きませんので「茗荷開」にしてしまおう!/旧暦8/21・戊子

七十二候は、「鶺鴒鳴(せきれいなく)」に入っております。(9月13日~17日)

せきれいが鳴くころだというコトなんですが…うーむ。もうココまで来るとあまりにも現実とかけ離れすぎ。

「せきれい」と聞いて、思い出すのは、ブルクミュラー25の練習曲(全音ピアノライブラリー)
にせきれいという曲があったなぁ…とか。
大好きな作家・庄野潤三氏の晩年の作品『せきれい』 (文春文庫)
をしみじみ思い出して書棚から取り出してみる…とか。

ああ、それって連想ゲームじゃん。

七十二候が作られた頃は、その辺にいて、秋口に鳴くポピュラーな鳥だったんでしょうか?
七十二候の中には、現代に生きてる身としてなじみがないモノは多いのですが、この「鶺鴒鳴」に関しては、その唐突感が否めません。

と、いろいろ調べてみたら、ああ、『日本書紀』に登場するんですね。
詳しくは、このサイトなんかうまくまとめられてるみたいです。→「びお・七十二候 鶺鴒鳴・せきれいなく」

本日も、勝手に我流七十二候で、「茗荷開」にしてしまおう!

…といつものコトで恐縮ですが、本家七十二候が、今の生活に合わない場合は、もうコレです。

身の回りの季節の変化からとって、自分流の七十二候を作ってしまう。

(ちなみに、これを、全国津々浦々のいろんなヒトと見せ合ったら面白いでしょうねぇ。このネット社会だし、いつか何かのカタチで実現したら面白いかも…と発作的におもったので、いちおうここに覚書・笑)

で、私の場合、今の時期らしいモノと思いつく筆頭はコレ。

茗荷収穫

母の家で採れる大量の「茗荷」

なんとなく夏が旬のように思っていますが、茗荷は秋を告げる食べ物のひとつです。
いまごろになれば、茗荷の葉が藪状態に生育し、その中にやぶ蚊と戦いながら分け入れば、地面から薄紅色の茗荷が顔を出しているはずです。

スーパーなら3つで200円弱ってところでしょうか。

我が故郷の庭では、これでもかっ!というぐらい育っている。
10数年前に苗を買ってきて植えたものだそうですが、その後の世話はまったくなしで、茗荷は地下茎で増えて毎年律儀に恵みをもたらすのです。

えらい!!

ここ数年の収穫量は、気分的には無数といった感じ。
目をつぶれば、まぶたの裏に茗荷の残像がうつるぐらいにせっせととって、どうです写真のように大収穫となります。

それでも、畳二畳分ぐらいのスペースには、たぶんまだこの10倍は茗荷が眠っているはずです。
大地の恵みはほんとうに凄い。

…といっても、実は写真は数年前のもの。

原発事故のおかげで、茗荷は葉の状態でやむなく駆除。
福島では、畑で作った収穫物の放射能測定をしてくれるシステムが整っているようですが、こうゆう個人で作っているモノをいちいち測定依頼するのはやや面倒。
ということで、ここ数年茗荷の収穫はありません。

それでも、近々、やっと除染がはじまるようで、またいつか、必ず、大地の恵みをいただける日を思って、ココには、茗荷のことを書こうとするしだいです。

大量採取した茗荷は、味噌汁の薬味にパスタの具、そして味噌漬け!

特に茗荷の味噌漬けは、大好物!

それが、玄米ご飯みたいなエネルギッシュな穀物に合って、このふたつの組み合わせならば、三食ぐらい続いても気にならないほどの好物です。

ということで、茗荷の味噌漬けの作り方をまとめておきましょう

1.よく洗った茗荷は、ざるなどで水を切り、塩を思いっきりまぶします。

茗荷に塩

2.あとは、重石をして数日。良ぉ~~く水出しするのがコツです

茗荷を漬ける

ともかく、何も考えず、この状態で冷蔵庫に保存します。
じゃないと暑いので、あっという間にかびます。

ちなみにの浅漬け容器、冷蔵庫にも入るし、少量を漬けて食卓にもだせるので非常に便利です。(漬けてない時は、花を活けるのにつかったりして…万能・笑)⇒ミニ浅漬鉢 CL 55017

3.塩のみで数日漬け込む、このしょっぱなの作業が一番重要。

数日後、随分いい感じにくたくたになってきましたが、これはまだまだ途中です。

茗荷水抜き

このぐらいになるまで、十分に水分を抜きます。

茗荷 水抜き2

3.さらに、茗荷自体を軽く絞ってさらに水分を取ります。

もちろん素手で。
これはひとえに漬け込む味噌を水っぽくしたくないためなんですが、本当のところはどうなんでしょうか?
もともとは漬けた味噌はそれなりに活用したいとのケチな根性によるものなのですが…。
まあ私流ということでご勘弁ください。

4.味噌に漬けます。

正しく合う味噌というのもあるかとは思いますが、まあどんな味噌でもとりあえずいいかなと私は思います。

タッパーにまず味噌を敷き、茗荷を載せ、さらに茗荷と茗荷の間を埋めるように味噌、さらに茗荷に蓋をするように味噌...という味噌×茗荷のミルフィーユ状態せ味噌をつめ、あとは漬かるまで静かに待ちましょう!

きちんと水分を抜いて漬ければ、冷蔵庫保存で、次の収穫まで1年間、細々と食いつないでゆくのが可能です。

水きり容器に入りきらなかった茗荷は、パスタに使う!

油で炒めて塩こしょうが旨いと聞きましたので、オリーブオイルで炒めてパスタの具にします。

材料は、まあこんな感じ。

にんにくは必須で、あとは季節の野菜が少々。
ツナ缶なんかも合いますよ。
味付けは塩こしょう。

パスタの材料

爽やかパスタという感じで、美味しいです。

パスタ

以前、築地でいただいた「鯵と夏野菜のパスタ」も作りたくなったわぁ~!

もう、ココまで以前の写真と茗荷の思い出で、書いてきたら、ふと、頭に浮かんだのがこのパスタ。

アジのパスタ

以前築地場外のイタリアンレストラン(といっても見かけは定食屋でしかない)で食べ、その旨さに驚愕した「鯵と夏野菜のパスタ」を記憶で再現したモノです。

いただいた当時、そのあまりの旨さに賛辞を贈るのに忙しく、うっかり作り方を聞いてくるのを忘れたため、私の記憶と舌のバイアスがかかっているし、素人料理なので、見かけも悪い。

でもレストランの女主人が語ったコトバ

「九州で水揚げされた鯵を1匹まるごと」
「オイルは、エキストラバージンオリーブオイルしか使ってない」
「パスタの量は女のお客さんには100g」

それと、ビジュアル的に覚えているオクラとシソと枝豆と茗荷。
舌が覚えていた梅の酸味。

で、無理やり再現してみた次第。

作り方は、ざっくり以下です。

1.鯵は、先に軽くソテーする。
2.枝豆とオクラをさっと茹でておく。
3.パスタをゆで、その間に、オリーブオイルでにんにくを炒める。
4.先の鯵の身をざっくりほぐしていため、枝豆、茗荷の千切りをいため、塩少々。
5.冷蔵庫に鎮座していた梅肉ビンずめを大匙に2杯。
6.茹で上がったパスタをこちらへ移し、茹で汁を少しずつ加えながら和え、シソ千切りとオクラを散らして出来上がり。

これって、実は、茗荷がないと、物足りない味になってしまうんです。

ああ、茗荷って、タダで収穫できる(母の家なら)のに、すごい、すごすぎるねぇ!

やっぱり、その茗荷の収穫時期である今ごろの七十二候は、「茗荷開」で正解です!

◆今日は、2014年9月14日/旧暦8月21日/葉月戊子の日
◆日の出 5時22分 日の入17時51分/月の出21時26分 月の入10時40分

この漬物容器、ホントに便利なんで、ココにもはりつけときますねぇ。