二十四節気は「寒露」。暦は「寒」の字を持ち出して「晩秋」を告げています。

二十四節気は「寒露」です。

「露」という文字なら、ふたつ前の「白露」にも使われていましたね。
しかし、あの日々の「露」は、「大気中の水蒸気が冷やされて草の葉に宿った状態」を言ったもの。
今思えば、まだまだ夏の気配が残るコトバでした。

しかし、次なる「秋分」が過ぎ。

とうとう、堂々と「寒」という字を持ち出して、もう完璧な秋…というよりすでに「晩秋」です。

まだ昼間はまだ蒸し暑かったりするのにねぇ…。

暦解説書『暦便覧』はなんと言ってる?

「陰寒の気に合つて露結び凝らんとすれば也」と説明しています。

「陰」で「寒」「気」「冷気」によって「露結び凝らん」
つまり「寒さで露も凍りそうになるころ」だから「寒露」というのだ…ぐらいの意味でしょうか。

この暦が現役だった江戸時代はもう寒かったんだなぁ…とやや遠い目になる。
現代は、10月に入っても薄物1枚で過ごせる暖かさ、時々暑く「寒」より「暖」の文字が似合いそうな日々なんですが😓。

寒露の頃は、稲刈りの頃

「寒露」を過ぎた時期のトピックスといえば…。

・「稲刈り」が盛んな頃。

実った「稲穂」で染められた黄金色の大地も…。

稲穂

日々きれいに刈り取られ、少しずつ、点々と切り株がならんだ「苅田」に変わってゆきます。

そして、稲を乾燥するために「杭掛け」した光景も登場。

苅田

…って、こうゆう風景は、東京ではなかなか見ることはできず、ちょっとつまらない田舎育ち(←私)。
みんな福島にて撮った写真です。

・街暮らしなら「菊の咲き始め」は身近かも。

花屋さんにも仏花以外の菊の花がならぶ。
野菊も咲き出す。
菊祭りもそろそろ始まります。
実際、旧暦時代の重陽の節句の9月9日は、「寒露」の頃(今年は、9月15日です)がいちばん近い。

「寒露」以降は「秋晴れ」の日々も多いか?

上を向いて歩けば、青々と澄んだ高い空に表情ある秋雲。
そういえば、私の中で、「秋晴れの空」は、「立秋」でも「秋分」でもなくて「寒露」という暦コトバに紐づいている事象かもしれません。

秋の空

東京地方は、これから冬に向かって、晴れの日が多くなってゆく。

そういや、稲刈りが済んだのだから、市場に出回る米は新米になり、それに加えて秋の味覚も充実。

ふーむ。
稲刈り、新米に秋の味覚。
菊の季節に秋晴れの日々。

そういえば、菊の季節の晴れた日を「菊晴れ」といったりするそうですよ。

暑くもなく極端に寒くもなく、短いながらも過ごしやすい季節到来。
夜は十分眠ることができ、目覚めるごとに、木々は美しく色ずいてゆくはずです。

やや寒さを強調するような字面で脅かされているようですが、もしかしたら、「寒露」という季節の言葉は、1年でいちばん過ごしやすい日々の到来を告げているのかも。

◆今日は、2014年10月8日/旧暦9月15日/長月壬子の日/満月
◆日の出5時41分 日の入17時16分/月の出17時07分 月の入5時04分