10月20日は、えびす講にて日本橋・宝田恵比寿神社の恵比寿神祭です/10/20=旧9/27・甲子

10月の別名は神無月。

八百万のカミサマ方は、みなさま出雲に集まりなにやらお話し合いがもたれるそうです。
なので、ほかの土地は、カミサマいらっしゃらないからこの名前。
一方、そうゆう事情で、出雲だけは10月を神在月とお呼びします。

…なんですが。

この時期、恵比寿さんひとりは所用が立て込み、出雲へは出向けません。

何をされているかといえば、10月(あるいは旧暦に沿って11月)は、主に関東地方でえびす講がにぎにぎしく。

たとえば、東京のど真ん中、日本橋ビル街の狭間にひっそりとある宝田恵比寿神社
昨日10月19日の宵宮に続き、今日20日のえびす講の日には、恵比寿神祭が開催中です。

いつもはひっそりした界隈に提灯なんかが飾られて…。

恵比寿神社提灯

露店も並んでおります。

恵比寿祭露店

えびす講は、1年の無事を感謝し、都市部であれば商売繁盛、農村漁村ならば五穀豊穣、大漁などを祈願する重要な祭り。
肝心の恵比寿さんが出雲へいかれてはかないません。
だから、この時期、恵比寿さんは留守神としてそれぞれの土地に残られるという次第。

さて、といっても現代は、えびす講の祭りは上方のほうがずっと盛んで、江戸東京は、この日本橋の宝田恵比寿神社のほか、恵比寿さんを祭る神社数件での催しでしかないのが少し寂しいところです。

関東地方のえびす講は、秋の収穫祭の趣

…なので門前市には、江戸時代の頃より魚や野菜などの露店が軒を並べた。
参詣客は、そこであれこれ求めて、恵比寿さんのお供えにしたそうです。

その中に、米と麹と塩で大根を漬けた「べったら漬け」も並び、それがまたよく売れたんだそうです。
そして、いつしか日本橋えびす講の名物にもなって、門前市の代名詞「べったら市」となりました。

昨日に引き続き、今日も、宝田恵比寿神社を囲むように出展される露店にはべったら漬けのものもならび、どこもべったら漬けが山盛りで売られているはず。

べったら漬け

昨日、山盛りのだいこん漬けを、ぼんやり眺めていれば、味見をせよと店主がおっしゃるので、お言葉に甘えて一口。

「ああ、甘い」
「そりゃ甘いさ、本物のべったら漬けは米と麹と塩だけで漬けるものだからね。」

でもその甘さが癖になりそうな美味しさです。

はかり売りですが、写真の1本分でだいだい1500円。

「えっ高っ!」
と思いましたが、縁起物ですし、1本買って帰りましょう。

「べったら」という名の由来って?

ところで、唱えれば、妖怪でもでてきそうな、この「べったら」という名前。

その昔、恵比寿講の市の混雑を利用して、浅漬け大根を参詣者の着物の袖につけ、「べったら~、べったら~」とからかったことが由来
…と、べったら漬けといっしょにいただいた資料にありました。

漬物は、ビニールで二重三重に包んでいただきましたが、それでもけっこう匂います。
それをむき出しで袖につけたって?

…晴れ着じゃなかったことを祈ります。

宝田神社の恵比寿祭にはお神輿も出る

この恵比寿祭では、夜遅くまで提灯がともり、実は一度も見たことがないのですが、宵宮の19日には、ちゃんとお神輿も繰り出します。

ちなみに、この恵比寿さんは、鎌倉時代の名匠仏師・運慶の作なんだとか。

社殿あたりで世話をやく紋付袴の…日本橋界隈の大店のご主人といった風情の方の立ち話。

「なんかきれいにしたら、ありがたみなくなっちゃってねぇ」
「ほんとだなぁ」…と。

ふふふ…修復してきれいになったんですね、恵比寿さん。
社殿の奥にちんまりいらして、双眼鏡でもなければ、かなり観づらいのが難点ですが、これもよーくよく拝見いたしたいものです。

さあて、その恵比寿さん。

えびす講を終えると、上方へ向かい、正月には、十日戎のお祭りとあいなります。

◆今日は、2014年10月20日/旧暦9月27日/長月甲子の日/秋の土用入
◆日の出 5時51分 日の入17時/月の出 2時13分 月の入14時55分