いつのまにか、七十二候は、「寒露」の末候「蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)」に入っておりました!(10月18日~10月22日)
きりぎりすが、戸口で鳴くころ。
とそのままの意味。
といっても、秋の虫全般をさしているみたいです。
かつて、「虫聴き」という風流な遊びがあって、このブログにも書かせていただきましたが、時期は、晩夏から秋口ぐらい。
しかし、虫が鳴いている以上、野原や山に出かけて、まだまだ「虫聴き」を楽しむころという意味もありそうです。
キリギリスなのかコオロギなのか?
さて、蟋蟀在戸の「蟋蟀」は、キリギリスと読むのだとばかり思っていたら、たまたまあたった資料には、「蟋蟀」=コオロギとあってややびっくり!
コオロギって…。
(向かって左側の黒いヤツです。しかも後ろ向き…すみません。)
ずいぶん違いますけどなんでですの?
実は、「蟋蟀」=コオロギと呼んでいたのは江戸時代の暦・「貞享暦」によるもの。
(ちなみに、この暦は、日本人・渋川春海によって編纂された初めての和暦→その苦労を物語にした『天地明察』おススメです。)
私は、その後、明治時代に作られた「略本暦」を資料として使っていたからでした。
「略本暦」では、「蟋蟀」=キリギリス。
ただし、読みがそうだからといって、実際どの虫なのかは、諸説あるのだそうで…ふーむ。
まっ、鳴いてれば、どんな虫でもいいってことにしとこうかな(笑)。
ということで、鳴き声をいろいろ楽しんでみましょう→キリギリス・バッタの鳴き声図鑑 + コロギス
昭和の初めまであった「虫売り」というシゴト
平成の世に虫を売るなら、さしずめカブトムシとかクワガタとかですが、江戸時代には、鳴き声の美しい虫を売る「虫売り」というナリワイがあった。
キリギリス、スズムシ、マツムシは「虫売り」に商われる代表的な商品だったとか。
虫は竹製のカゴ「ギスかご」に入れて売られ、江戸人たちは、そのカゴを縁側や店先に吊るして愉しんだんだそうです。
ちなみに、竹製ではないけど、これも「ギスかご」の一種。
って、ただの虫かごじゃん(しかも中味はおもちゃのフルーツ・笑)。
「虫かご」=「ギスかご」なのかは調べが付かなかったので、今後の宿題とさせていただくとして、虫を飼う入れ物までも、風情があるってのがステキです。
プラスチック製もそれなりにかわいいし。
竹製は、マジでインテリアになりますね。
そんな籠を天秤棒などにかけて、行商に来るのが、江戸の秋。
想像するだにステキ。
そんな商売は、露天商にカタチを変え、昭和の初めぐらいまでつづいたのだとか。
ちなみに、キリギリスを捕まえることを「ギッチョ捕り」といって、子供の小遣い稼ぎにもなってたんだそうです。→狛江市のサイト「多摩川の虫とり」
ああ、せめて、どこかの秋祭りの露店で復刻してくれればいいのになぁ…。
◆今日は、2014年10月21日/旧暦9月28日/長月乙丑の日
◆日の出 5時52分 日の入16時59分/月の出 3時07分 月の入15時27分