街の餅屋さんやお米屋さんの店頭に、鏡餅が並びました。
もちろん、スーパーマーケットなんかは、12月に入るや否やいちばん目立つところに並んでいます。
が、私の場合「それってちょっと早すぎませんか?」と独り言ち。
毎年、横目で通り過ぎるのみ。
そして!
いつもお世話になっている和菓子屋さんの店先に鏡餅が並ぶころいそいそと出向く。
ああ、ありましたっ!
いつもクリスマスが終わった数日後なんですよね。
並んだ風情をまずは楽しみ…。
ふふふっ、いつ見てもこの小さな鏡餅が並んだ様子は可愛いです。
餅を選ぶふりして、店先をしばしうろつく。
店の奥では、お正月用のお餅の扱いも始まっているみたい。
我がご近所には、こうして、お店で搗いた餅を正月用に売るお店が何件かあるのです。
それを利用しなくてはもったいないってコトですね。
そういえば、ここ数日は、路上餅つきが盛んでした!
って、町会の行事ですが(笑)。
路地裏の空き地や、路上にて、杵と臼でお餅搗きする光景って、なんかもう路上パフォーマンスの一環みたい。
見つけりゃ、町会の人々の端っこに交じってしばし見学させてもらう。
なかなかのタイミングに、ダイナミックかつスピード感。
単調な動きながらも、ずーっと見ていたくなるんですよね。
ホントは、写真なども撮らせていただきたいなぁ…と思いつつ、やっぱ遠慮して見るだけにします。
こんな風にお正月のモノやコトで日常が満ちてきて、師走の街が、慌ただしいながらもなんとなく寿いだ気分になってきました。
江戸時代の、お餅搗きの話もなかなかに興味深い
いつもの『絵本江戸風俗往来 』(菊池貴一郎 東洋文庫)を紐解きましょう。
・まずは、お偉い方々はどうかというと。
<諸侯・旗本方・社家・寺院、その他武家ならびに町家の奉公人多き家は、皆自家にて例年定めの日限に違わず搗かれたり>
とあって、裕福で人手がある家々は自前で正月用の餅を搗いたみたい。
しかも、毎年決まった日時に行う年中行事のように捉えられていたようです。
・その他の町人たちは?
<賃餅及び引きずり餅というを頼みて搗くなり>。
「賃餅」⇒菓子屋の搗く餅のコト。
ただし、名のある菓子屋は正月用の菓子の準備で暇がないので、町人たちが日常的に菓子を求めるような<下物製の餅菓子屋のみ>暮れの餅を引き受けて搗いたようです。
「引きずり餅」⇒出張餅つきサービスみたいなもの。
本書で、<町内鳶の者、人足を雇い、釜・臼・杵等を担い、餅注文の家の前に到りて搗くものなり>と解説されています。
・餅の搗き方にも、どうもなんとなくの序列が存在
<自家にて餅を搗くは上流物持ちにして、引きずり餅屋を頼む家は普通の家、賃餅にて搗くは世間へ恥し風習なり>
…なんだとか。
つまり、正月用の餅は、家で搗いたものが格が上ってことなのでしょうか。
鏡餅は、歳神サマの依代。お正月にいただくお餅は歳神サマへのお振舞い
実家で正月を過ごすもので、実は、東京の家には正月飾りなどしないおりました。
が、このコトを知ってからは、小さな鏡餅を含め、お正月飾りにも少し気を配ることにした。
と言うことで、今年も、近所のお餅屋さんで、鏡餅を購入。
といっても、この買い方ですら、江戸人に言わせれば、<賃餅にて搗くは世間へ恥し風習>なんですけどねぇ…。
気分的には、もうスーパーで買ったモノなんか供えられませんね。
とかいっても、いちばん小さいモノですが…。
(小さいモノでないと、鏡開きののちに、完食するのがやや困難なもんで…)
我が家には、床の間などの飾る場所がありませんので、普段使いのお盆をきれいに拭いて、いったん、そこに飾る。
(他の正月飾りと一緒に、後日、一斉に正月仕様に飾り付けます)
去年は、橙はつかなかったよなぁ…と記憶違いして、別途購入。
しかし、鏡餅にはちゃあんと橙が付いてきました。
なので、鏡餅の横に橙をもうひとつ飾る。
なんとなく縁起のよさがアップしたようです。
さて、その「引きずり餅」や「賃餅」ですら…。
『絵本江戸風俗往来』の続きですが、江戸人たちは、年末が見えれば早々に注文を受け始め、餅搗きはじめは12月15日あたりからだったそう。
そして…。
<朝また燈火にて搗き始め、22~23日より大晦日の夜明けまで餅搗く杵の音、江戸四里四方に絶えずというも虚言とせず>
というから、ものすごい。
夜な夜な、犬の遠吠えなどに混じって、ぺったんぺったんという音が、江戸市中に響き渡っていたってことでしょうか?
でしょうねぇ~♡♡♡
江戸時代に師走にワープして実体験してみたいことにひとつです。
ともかく、鏡餅が店頭に並べば、もう師走は最終コース。
1年はあっという間に過ぎてゆくものです。
◆今日は、2014年12月27日/旧暦11月6日/霜月壬申の日
◆日の出 6時49分 日の入16時35分/月の出10時26分 月の入22時29分