11月30日は、早世の作家・杉浦日向子さんの誕生日です。
好きな作家の誕生日には、その著作を読んで祝おう!
というMYルールにのっとり、今日は、我が書棚にある、杉浦日向子作品から一冊。
外出するので、バックにしのばせ、ランチ&ティータイムに取り出して読むという1日にいたしましょう。
最初に出会った『百日紅』シリーズは、
田舎の高校生の私に江戸の面白さを刷り込んでくれた。
芸能人が闊歩する近代的で清潔でおしゃれな街=東京。
(って、芸能人と近代的が微妙に関係ないんですが、まあ高校生の私が思ったままなんであしからず)
と思っていたところに、おもいっきりのカルチャーショック!
人並みに、可愛い洋服&雑貨には興味が湧いた年頃でも、なぜか芸能人もおしゃれな街並みにも興味薄な可愛くない高校生にも、
『百日紅』に描かれた、江戸ワールドはピンと来たね!
北斎をはじめとした浮世絵師に垣間見えた、江戸人の粋。
最小限のモノで暮らす、長屋の一室や、その暮らしの道具。
学校の教科書では、ちょっと締め付け激しい江戸の庶民が、そこでは、飄々と生きる潔い人たちで、マジでかっこいいと思ったものです。
ああ、やっぱ今年も『百日紅』にしょうかな?
でも、出かけるのに単行本はちょっと重い、ああ、今日に備えて文庫本を買っとけばよかったぁ。
2015年は、杉浦日向子ブーム?
…とも思える1年で、『百日紅』がアニメ化されたかと思ったら、続いて『合葬』が 柳楽優弥主演で実写化と映画化が相次いだ。
書店の棚には、常時、杉浦日向子著作はちゃんと並んでいるが、ちょっと前なら、江戸風俗研究家としての著作が主。
しかし、この相次ぐ映画化で、並ぶ本が一変し、いまらなら『百日紅』に『合葬』のほうがいい位置にある。
昨年のこの日のブログで<杉浦日向子さんが世間に登場したのは、漫画家としてだったって知っていますか?>なんて書いたけど、これで、杉浦さんの違う面もちゃんと世間に思い出してもらえたかも。
…と、長いファンとしてはかなりうれしい。
ああ、そのブームに乗って『合葬』は、文庫を買ったんだっけ。
今日はこっちにしようかなぁ。
でもなぁ。幕末の彰義隊の話は、今日の気分にはちょっと重たかったりするかしら?
杉浦作品を読む&見る感覚は、江戸人が浮世絵を見るのと共通しているかも?
とは、いちばん最初に『百日紅』の表紙を見たときの印象。
そうして、杉浦作品の漫画を読んで江戸文化に惹かれ、そのまま著作が出ればくまなく読んで全網羅。
その後、漫画に戻って思うのは、やっぱりあの感覚はあたっていたね
というコトで、今日の日に、あえて漫画を読みたくなるのは、江戸人が浮世絵を見る感じを、平成の世に追体験する楽しさのせい。
さて。
今日は『東のエデン』 (ちくま文庫)で、明治初期の文明開化に、「やすやすと乗ってられっか!」という気分の江戸人たちに合いにゆこうか?
それとも『百物語 』(新潮文庫)で妖怪変化を楽しもうか?
それとも『二つ枕 (ちくま文庫)』の遊女遊郭の世界へ。
手法は漫画だけれど、江戸人が現代人に江戸のコトを伝えるために書かれたのでは?としか思えない数々の作品群。
時代の風俗や、人々の死生観。
加えて、人びとの手に届く範囲にいて感じられた、「妖怪」とか「魑魅魍魎(ちみもうりょう)」とか。
どの作品にも、一番底には、それらを、彼らが「まあ、そうゆうもんだから、しかたがねぇ」とひょうひょうと受け入れる様が描かれていて魅力的。
魅力的過ぎて、杉浦さんって、もしや江戸で暮らしてた?
なんて思えてしまう。
彼女は、2005年7月22日に、46歳という若さで逝った。
やけに早くに逝ってしまったなぁ...とかなり唖然とさせられたけど、、もしや、江戸に帰ったというのが真相だったりしてなぁ。
と、実は、どこかでホンキデ思っていたりもするのです。
それはともかく。
杉浦日向子という作家が描く、えらく魅力的な江戸人たち。そんな人と、私たちは、つながっているんだなぁと思う幸福感。
今日も、それを感じるために、杉浦日向子ワールドにどっぷりつかろうと思います。
杉浦さん。
お誕生日おめでとうございます。
江戸の暮らしはいかがでしょうか?
ちなみに、しっかり江戸文化の虜になって、思えば、こんなブログを毎日飽きもせず更新しているのは、大元をたどれば杉浦さんのせいでもあります。
ありがとうございます。
◆今日は、2015年11月30日/旧暦10月19日/神無月庚戌の日
◆日の出6時30分 日の入16時28分/月の出20時52分 月の入9時57分
↓『百日紅』は、マジ今日買います。
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