たった一夜で、街は様変わり!
昨日まではクリスマスムード一色だった我がご近所は、朝になったら一転!
舞台がくるっと一回転したかのようにお正月気分で満ちていました。
街の辻には、お正月飾りの屋台も現れて…。
おっ!見事な「牛蒡注連縄(ごぼうしめなわ)」です。
いや、「大根注連縄」とよばれている方かな?
ちょっと定かではありませんが、とにかく、この巨大なモノが、神社の拝殿前に飾られたりしますが、こっちは神棚用かと。
つまり、我がご近所に、これに見合った立派な神棚のあるお宅がまだあるってことです。
こちらは、「玉締め」。
普段見慣れている門口中央に飾るお正月飾りのベースになるモノ。
これに前垂れ、裏白、紙垂、譲り葉、橙、海老、扇…etcなど、縁起物をアレンジして、豪華なしめ飾りに仕立てます。
ああ、とにかく、青々とした草の香りが爽やかで、なんか立ち去りがたくなるんだなぁ…。
私は、冷やかしの客だってのに(笑)。
といった感じで、毎年のことながら、驚くばかりの変貌ぶりです。
そのまま、一駅分ぐらい歩いてみれば、おおっ!もう門松登場!
ここは、昨日までポインセチアがあったような…うっすらとした記憶。
しかし、もう青々とした松が飾られています。
瀟洒な民家の門口にも、夕暮れ前までには門松が配される。
おっ!これはなかなかにセンスがいいっ!
…って感じ。
もう気がはやいよねぇ…。
江戸人に習えば、お正月の準備は12月13日から
…ってコトで、現代は、その前にクリスマス気分に浸る必要があるんで(?)、実は遅いぐらいでした。
江戸時代ならば、12月13日に、町をあげての大掃除「煤払い」&門松用の松を切りに出かける「松迎え」を同時進行。
正月準備にたっぷり2週間以上かけてたって計算です。
「松迎え」は、来年の年男が、来年の恵方へ出かけて松を切り出す風習
…ってコトで、門松の素材である「松」採取からして縁起を担いだりする都合もあったから、準備も時間もたっぷりとったということかも。
江戸の暦はもちろん旧暦、。
だから、12月13日といえば、冬深いころで、もしや雪なんかも降ったかもしれない。
採った松を運ぶのにだってけっこうな手間と時間がかかります。
…どころか、切って運んだ松は、すぐには飾らないのが正式な作法。
松は、しばし保存して、年末になって改めて門松に仕立てて飾ったそう。
そして門松を飾るに関してはほかにも厳密な作法があった。
いつものように江戸時代の行事の参考書から一冊『絵本江戸風俗往来 』(菊池貴一郎 東洋文庫)を紐解いてみます。
記述をざっくりまとめれば…。
1.江戸の門松飾りは例年12月28日と定められていた。
2.飾るにも家格で順番が存在していた。
・江戸城の出入り口、三十六の見附門が門松によって飾られるのが一番最初。
・江戸城の飾りつけに倣うように大名、旗本、大社が飾る。
・同じく、町人の中でも裕福な大店などもお抱えの鳶職に頼んで飾ってもらう。
…という順番。
3.一般の町家の松飾りの世話を担ったのは、とび職をまとめる者(鳶頭)だった。
へえぇ、もしや長屋にも門松とかしめ飾りとかあったのかな?
長屋でまとめて一か所に飾って、大家さんとか差配さん(長屋の管理者)がお金を負担したんでしょうかね?
とにかく、江戸の正月準備が一斉にスタートしてたってのが、潔く、気が短い江戸人らしい気がしますね。
平成の東京でも12月14日から「ガサ市」がスタート
「ガサ市」とは、しめ飾りや松飾りの業者専門の卸し市のことで、東・東京では、浅草寺本堂裏に立ちます。
同時にその周辺の浅草の繁華街は、門柱やら商業施設の入り口やらに松飾があしらわれます。
こんな松飾りがクリスマス仕様の飾りと並んで街を飾っているのも、ガサ市のある浅草界隈だけかもしれません。
実は、この「ガサ市」は、ちょっと前まで、露店が並んで雰囲気満点。
…だったのですが、数年前から2階建てのコンテナみたいな建物に代わってしまってちょっと残念です。
ちなみに、「ガサ市」の顧客の多くは鳶職人たちで、鳶頭は、そこで仕入れられた材料を使い弟子に門松や松飾りの技術を実地で伝えつつ、併せて露店の準備も進めてゆくんだそうです。
そこは、江戸人からの伝統を、うまくアレンジして今に伝えているみたいです。
門松&松飾を飾るなら、現代だって江戸に倣って28日までに。
29日は「九」は「苦」に通じ、そんな日にわざわざ松を飾れば「苦松(くまつ)」となってしまう。
31日はインスタントな一夜飾り。
どちらも歳神サマに失礼で、正月早々、ちょっと気分をそこねちゃうかもしれません。
で、30日だったらいいのかな?
…と思ってしまうのは、年賀状の準備もまだなんで…。ああ。
と、よーく考えてみれは、我が家は、集合住宅の一室で、門松も玄関に飾る松飾もなしでした(笑)。
歳神サマの依り代は、室内の鏡餅のみだというのに、どうも例年、お正月飾りの露店の寿ぐ感じは楽しくて、ついつい冷やかしで一軒二軒…。
いつしか、自分の家のも早く飾らなければという気分になっております。(←間抜けです・笑)
◆今日は、2015年12月26日/旧暦11月16日/霜月丙子の日
◆日の出6時49分 日の入16時34分/月の出17時37分 月の入6時57分