立春と二十四節気

firstofspring2014_1

四季、二十四節気、そして七十二候

これらは、すべて季節の移ろいをとらえることばです。
そして、日本には、それが三種類もあるというのも驚くべきこと。

古人は、太陽がめぐる1年を四等分した四季では飽き足らず、二十四等分にした二十四節気と、さらに七十二等分にした七十二候をさだめ、ささやかな変化をとらえようとした。

なんと繊細で、センスあるコトだろうか。
…と思いもしますが、それは、その変化を楽しむためのみならず、農耕のためでもあった。
土つくり、種まきから実りのチャンスまでを逃すまいと虎視眈々と季節の変化に注意を向けた。

美しい言葉で、季節の変化をとらえる知恵は、いのちを支えるためでもあったのです。

二十四節気の始まりは「立春」、暦は春に入ります。

暦の上では「大寒」から「立春」までが寒さの頂点でもあって、翌日からの寒さは「残寒」とか「余寒」などと言います。
手紙を書く場合の時候の挨拶もこの言葉を使うのが正しい。
誰かに手紙のひとつも送ってみたくなるルールだわと思いますが、いかがでしょうか?

立春は、二十四節気の第1番目であるほかに、様々な季節の節目を数える、その第1日目としても重要です。
たとえば、立春を1日目として数えて、88日目は、お茶の収穫が始まる「八十八夜」。
210日目は、台風が来て天気が荒れやすくなる「二百十日」と言う具合。
戻って、1日前は「節分」となり、こうして立春を基点に数える暦日は「雑節」と呼ばれて、二十四節気とともに、農業を営む上で非常に大切な目安となった。
ああ、ここにもまたひとつ、季節のとらえ方がありましたね。

そうそう、新しい年にはじめて吹く強い南風「春一番」は、立春から春分の間に吹く風という決まりもあります。
こうしてみれば、「立春」の役割はずいぶん多い。

二十四節気のトップランナーは、非常に重要な意味をもって季節のスタートラインに立つようです。

年内立春、新年立春、元旦立春

さて、まだ日本人が旧暦で過ごしていた頃。
月日は、お月さまの満ち欠けによる太陰暦で決められたから、太陽の動きを元にした「立春」は、毎年、暦の12月15日から正月15日の間をいったりきたり。
なので、旧年の12月中に立春があれば「年内立春」、新年1月にあれば「新年立春」と呼び名まで変わった。
30年に1回ぐらいの割合で、元旦と立春が同じ日になることもあって、その日は特別に「元旦立春」と呼んでいました。

さて、今年は?
(→2014年の立春は、旧暦1月5日なので、今年は「新年立春」です)。
1年の始まりの「元旦」と季節の始まりの「立春」が、追って追われていったりきたり、立春が実は3種類もある。
今のカレンダーの感覚から言えば、ファジーで落ち着かない感じがしますが、昔の人は、あんがい、この微妙な違いにいろいろ意味を見出して楽しんでいたかもしれません。

立春大吉

写真は、数年前の立春の日に偶然懐石料理をいただく機会があって、そのもてなしにしつらえていただいたもの。「立春大吉」のお箸袋と箸置き代わりの柊です。

「こう縦書きにしますとね、すべての文字が左右対称になりますでしょ。これは、縁起のいい言葉の証です」と、仲居さんにそっと教えていただき、「あっ!本当だ」と無邪気に驚き喜ばしく。
放って帰えれず、いただいてきたもの。

のちのち調べてみれば、立春の日の早朝、禅寺では、「立春大吉」と紙に書いて、山門に貼る習慣があり、懐石料理ですから、そこから発想したおもてなしだったのですね。

昨日の節分にて、邪気を祓い、立春を向かえた今日は、すべて大吉。
そう、清々しく感じたことを思い出します。