まだ大雪に見舞われる寸前の2月上旬。
ちょうど、近くに用事があったついでに小石川植物園へ行ってきました。
目的は、もちろん、梅観察です。
梅の花のうんちくもどきを少々
梅干など実の利用価値が高いということもあってなのか、江戸の植木職人たちによる品種改良の熱の入れようは群を抜いてすごかったようです。
特に、作られた品種数で言ったら、梅は別格。
梅の品種改良は、木に木を接いで何年もかかる根気のいる仕事であるのに関わらず、江戸時代には、すでに100種に迫る勢いで、その流れを汲んで作られた続け、明治の頃には300種ほどが確認されていたそうです。
となれば、その品種をいろいろ見比べて楽しむのも一興か...と、私の梅見好きは、そうゆう興味に端を発しております。
梅干し好きってものあるけどね、うふふっ。
そして、品種の上でも、それをある程度比較するうえでも、東京都内なら小石川植物園が超おススメ。
小石川植物園は、1684年に徳川幕府が作った「小石川薬園」がその発祥。日本最古の植物園にして、現在は、東京大学の研究施設で、梅の種類も80種。
もちろん300種には遠く及びませんが、それだけの種類が一箇所に集められ、すべてが咲き誇る3月上旬ごろの景観たるや、梅であっても、桃源郷とはかくやという感じになります。
それも、立春寒波がやってきた今年は、いつもより出足は遅いといった感じ。
例年ならば、もう半数の梅が8部咲きといった感じで全体に色ずく梅林のあたりもこんな風です。
ここは、研究施設ですので、その梅の木々一本一本にきちんと品種の名札がつけられて、花と名前を付き合わせながら観賞する楽しみがあります。
もしかしたら、満開のときより、このぐらいの今ぐらいから何回かに分けて植物園を訪ねるほうが、その楽しみ方には適しているかもしれません。
というのも、80種類は多すぎて、何がなんだかわからなくなります。
それでは、2014年2月上旬の梅観察です!
◎まず紅梅から。
・「未開紅」
近寄るとボリューム感もある。
・「古郷の錦」
うーん、これはまだまだって感じですね。
・「道知辺」
山道で方向を失ったときに、こんな梅が案内してくれたらかなりうれしい…。という意味の名前?
・「寒紅梅」
わわっ!名前に「寒」と入ってるだけあって、これだけ満開ですっ!
花に寄ると…。
・「扇流し」
これも元気ですね。
花はうすーい、ピンク
・「五節の舞」
これもたくさん咲いてます。
・「大湊」
梅にしては花弁が薄くて繊細な感じ。
・「黒雲」
この梅らしくない名前は…?
満開になるとしっとり黒く見えるのかな?
◎つぎは、白梅。
・「古今集」
私的には、一押しの梅。
例年ならば、The梅花といった感じで満開なんですが、今年はまだこれからって感じですね。
・「雪の曙」
こちらも、まだ、枝先にぽつりぽつりと咲くのみです。
・「春日野」
・「白鷹」
こちらは、けっこう咲きそろってます。
寄るとこんな感じの花。
・「雪月花」
この品種は、咲き方の佇まいがいい感じ。
花も控えめな感じです。
・「塒出(とやで)の鷹」
鷹というより、丸くふくらんだ白はとみたいな花ですが…。
・「冬至」
さーすが、名前のイメージどおりに早咲きみたい。ボリューム感いっぱいで咲いてます。
・「長寿」
いい名前です。
最初、どれもが同じ白梅&紅梅にしか見えませんが、比べれば少しずつ違いが解かります。
もちろん比較した差であって、この白梅は何て名前?とか聞かれても私には難解すぎ。
それぐらいのほんのかすかな違いの花が、一堂に会し咲いているというのも実は興味深いです。
ところで、梅の品種につけられた名前は、ずいぶんと風流。
梅林を巡り、ひとつひとつ丁寧に眺めていると、和歌のひとつ、句のひとつも生まれでくるような気分になります。
…って、気分だけですが(笑)。
そして、その名の由来も調べてみたい。
江戸時代の梅見は、桜と違って花の下で宴会をするものではなくて、数人の友と静かに木々の間をそぞろ歩き、銘木、古木を愛で、歌や俳句を作るものだったそうです。
たしかにね。
梅の木の造作といい、その名前といい、確かにそんな風な楽しみ方が似合う花です。
さて、ずいぶん多くの種類を堪能したなと思っても、これでやっと16種類。
植物園梅林の約五分の一です。
ああ…全部見たいので、数日後に、また訪ねなければなりませんね。
ついで、桃、桜…と、いつの間にか花追い人となり、しばし花ばかりが気になって日々を過ごすことになりそうです。