新宿御苑の「菊花壇展」は、見応えありすぎ。情緒満点。見なきゃ損…と三拍子そろった菊の祭典/11/10=旧9/29・庚寅

11月は、もしや師走より忙しい?

というのも、酉の市行脚(←けっきょく、今年もやってる・笑)だけでも東京の西へ東へと大移動。
そこに、菊まつりがどどっ!と集中したりするんだなぁ。

菊

都内の菊まつり及び菊展示のたぐいは、11月に入るや否やスタートし、前半が勝負!
展示そのものが終了してしまうのもあるけれど、11月下旬まで開催されているものも、菊自体がちょっと…な感じになってしまうから。

ってコトで。

まずは、新宿御苑の「菊花壇展」を攻めてみましたっ!

場所は、新宿御苑の日本庭園にて、時は11月1日から15日までっ!
ひゃーっ!もうあと5日しか残ってなかった!
…と、日程に追われるのも11月の行事の特徴。(←たぶん、欲張って全部行きたい私だけ)

新宿門のあたりには、THE菊花展というか、いよっ!職人芸といった感じの飾り付けが来訪者を迎え…。

新宿門の菊

もう期待大!です。

がっ!いずれの入場門からも日本庭園って遠いんだよなぁ。
もしも、見学に行かれるのなら、とにかく歩きやすい靴&衣服は必至です。

回遊式の日本庭園には、上屋(うわや)が点在。
その屋根の下には、職人の技を凝らした菊・菊・菊!

新宿御苑の日本庭園は、池や水の流れを配し、それに沿って散策する池泉回遊式という様式。
とにかく、それだけでも情緒満点の庭園ですが、「菊花壇展」の間は、そこに、木や竹で建てられた上屋(うわや)という建物が7棟。

他にも、菊のインスタレーションみたいなものも置かれ、いつものシックな感じが、少し華やいでおります。

というコトで、その華やぎの菊たちを一挙にお見せしましょう!

菊で作った美しい崖?「懸崖作り花壇(けんがいつくりかだん)」

この意匠は、自生種の野菊が、山の岩の隙間から垂れ下がって咲く様子がモチーフらしい。

崖づくり

カワイイ小菊を使いつつも、野趣あふれる仕立て…なんですねぇ。
なによりすごいなぁと思うのは、これが一つの株からできているってコトですかね。

伊勢菊、丁子菊、嵯峨菊と、変わりだねが並ぶ花壇へ

順に…。

「伊勢菊(いせぎく)」

伊勢菊

これはその名のとおり、伊勢地方(=三重県の松阪市から津市あたり)で作られていた菊だそう。
乱れた感じが特徴なのかな?
ちなみに、花びらが長く垂れ下がるほど良い花とされているらしいです。

「丁子菊(ちょうじぎく)」

丁字菊

これもそのものずばり、香辛料の丁子にカタチが似ているのでこの名。
個人的には、この可愛さが好き。
主に関東地方で作られていたのだとか。

「嵯峨菊(さがぎく)」

嵯峨菊

嵯峨天皇の御愛の菊だからこの名前。
菊の世界には古典菊というジャンルがあって、そのなかでももっとも古い、由緒もばっちりな菊ですね。

堂々メインは、やっぱりこれだろうなぁ。
…の「大作り花壇(おおづくりかだん)」

やっぱね、これはすごいと毎年思う。

大菊

仮に、たくさんの菊の花を集めて、一本ずつ活けてこのカタチを作ったってなら、なるほどとかるく納得できるけど。
これは、ぜんぶ一つの株から茎がでてるんですよねぇ!
しかも、それを半円形の咲かせてるしっ!!

ちなみに、これは新宿御苑独自の技術。
ここから、「千輪作り」(大作りよりやや小ぶりだが、似たように一つの株で半円に咲かせる)という技法が生まれたのだとか

で、そこに、ちょうど職人さんがいらしゃいまして…。

菊の紋

もう、こんな見事な技を見せられたあとだと、はっぴの菊が妙にまぶしくありがたく見えます。

いちばん好きな、「江戸菊花壇」

「江戸菊」は、江戸の職人たちによって生み出され、大流行した菊なんだとか。
とにかく、この花びらがさまざまに変化しつつ咲くのが特徴。

江戸菊

別名「狂菊」。
狂い菊
たしかにねぇ、そんな感じ。

これもすごいっ! 「一文字菊&管物菊花壇」

何がすごいって、この菊「一文字菊」と…。

一文字菊

「管物菊」と。

管菊

ひとつだけでもほーっすごいっ!って感じというのに…。

並べる

こんだけ並ぶと、もう菊というよりアート・インスタレーションです。

アート・インスタレーションといえばこれもすごい
「大菊花壇(おおぎくかだん)」

並べ方は同じく色合いをそろえて斜めに…。

大菊

しかし、観る方向を変えるとこんな風にもなって。

大菊

うっ!するってーと、さっきの「一文字菊&管物菊花壇」も違う方向から観るべきだった?
と思っても、ここは広大な新宿御苑。

も一度もどって、見直す体力はありません。

最後に、和みの花壇
「肥後菊花壇 (ひごぎくかだん)」をば

肥後菊花壇

肥後菊は、18世紀末に肥後地方(今の熊本県)で、作られいていた古典菊。
なんと、藩主・細川公による文化政策の一翼を担っていたらしいです。
この菊の清廉な姿から武士道の意義を説いたとか。
そして、藩外流出厳禁の門外不出の秘花の時期も長かったとか。
なにかと、逸話の多い菊。

…なんだけど、大物を大量に見たあとで、ヒトをほっと和ます不思議な佇まいの菊でもあります。

というコトで、今日はなんだかボリューム過多?

しかし、菊まつりの話題は、まだまだ続きます。
次回は、巣鴨か湯島天神か?こうご期待っ!

◆今日は、2015年11月10日/旧暦9月29日/長月庚寅の日
◆日の出6時11分 日の入16時38分/月の出4時30分 月の入15時56分