横道世之介っ!お久しぶりっ!!ああ、君にずーっと会いたかったんだよねとか思いつつ読む。

吉田修一作『続・横道世之介』を、懐かしさに包まれながら読了。

そして、ちょっと寂しくなった。
ああ、その後の世之介のことも知りたいなぁ…と。

続・横道世之介

どこかのインタビューで、作家の吉田修一さんは、続編を書くつもりはなかったけれど、新雑誌の連載を依頼され、世之介に伴走してもらえないかなぁと思った。
…みたいなことを言っていた。(どこで読んだか曖昧なので、そのとおりの表現ではないですが…。)

最初、ええっ!続編はずーっとなかったかもしれなかった?と思いつつ、世之介=伴走者って、すごくわかるなぁと思う。

物語は、前作の6年後。

大学も卒業し、時代的には無事就職しているかと思えば、バブルの売り手市場に乗り遅れて、バイトとパチンコの日々。
相変わらず、肩にまったくチカラが入っていない、ふらふらしたやつだけど…彼とかかわりを持つ友人・知人たちにとっては、人生のさりげない「伴走者」。

そして、ただただ善良な人だから、だれもが、そうと気づかず安心して、日々を走り抜けてゆくのである。

悪が一ミリもない奇跡的なキャラクター。
善良だからといって誰かに付け込まれることもない、自分勝手なマイペース、なのに、多くを受け入れる器の大きさ。

作家は、よくもこんな人物を創ったなぁと思うのだけど、そんな世之介の、世間の常識から行ったら、全然うまくいかない24歳~25歳の一年間。
だけど、読者は、読み進める物語すべてが、淡々と幸せで、懐かしさ込み上げる読後感。

それは、リアルな時代背景の記述によることもあるだろうけど、やっぱ世之介なんだよねぇ。

そうそう、この物語。

世之介の生きた1年と、その27年後の東京オリンピック・男子マラソンの様子とパラリンピック男子マラソンが描かれて、2020年にはもういない世之介の思い出を軸に時代がいったりきたり。

その作家の工夫も面白い。

ああ、でもでもともかく。
写真の勉強を始めたところで、この物語は終わるけど、その後、報道カメラマンとなった世之介とか、そこに至る世之介の生きざまとかとか。
もっと、たくさんの世之介に会ってみたいなぁ。

もうね。
マイペースで、善良。
この二つを手放さないで、生きるって奇跡。
そこに、読者は、毎度、毎度、希望をもらってしまうのだが、30代や40代ではどんなだったんだろうか?

乞う!続々編(*’▽’)。

↓ぼんやりしてたら、もう文庫化されてました。しかもタイトルも素敵に変化っ!

吉田修一作『続・横道世之介』が文庫化して『おかえり横道世之介』(中公文庫)。