二十四節気は「立秋」なれど、今年の夏は始まったばかりかも?いやいや秋もいますよ/旧7/12・庚戌

今日は、二十四節気の「立秋」です。
早いですね、とうとう暦の上では秋になってしまいました。

といっても『暦便覧』の解説でだって「初めて秋の気立つがゆゑなれば也」といっているだけで、秋の気配が現れてくる頃ぐらいの意味です。

まだまだ暑さは続くけれど、ふと、肌に感じる風が盛夏のものとは少し違っているように思えてハッとする。
8月に入って、せっかく夏の暑さにも馴染んてきたころだというのに…って嘘です。

やっぱり、暑すぎ。
なにが「立秋だよ!ふざけんなよ」と、夏真っ盛りの空に向かってゴロツキたくなります(笑)。

夏の空

それでも、秋めいた季節の変化をちょっとばかし。

空模様といえば、たしかに立秋をすぎて、蝉の声が暑い暑い言っているような中出かけ、ふと見上げれば空には雲ひとつなくこんなにクリア!

クリアな空

こんな空は、秋冬のモノ。しいていえば台風の直後。

おっ!やっぱり秋は近づいてるか?と、時々おどろくのもいまごろのことです。

秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる

風音でなく、空模様ですが、気分的には、そんな感じ。

藤原敏行は、この歌を立秋の日に詠んだのですからあたりまえですが、まさに立秋前後の季節のことをシンプルにいいあてています。

季節のお便りも今日を境に、「暑中見舞い」から「残暑お見舞い」へ。

そういえば、どんなに暑さ厳しくても「残暑」のことばの持つ響きは、「もう少ししか残っていないよ」という気分があってちょっとさびしい気もしてきますね。
暑い暑いと忌み嫌っているくせに…なんですけどね。

さびしくなるのは、日の短さを感じるからでもあって、7月中は、朝の4時をまわればもうしらじらと明るくなって、日の入りも19時までと日はたっぷり長かった。

それが、立秋の今日の日の出は、4時53分。
あと数日で5時をすぎ、日の入りもどんどん早くなって、18時にかぎりなく近づいてゆく。

すると、日々の印象が違ってくるというもので、やっぱり、なんだかココロさびしい。
夏場は、暑さをしのぐことに一生懸命で、さびしいなんて考えている暇はありませんでしたもの、やっぱり、秋がきたんですねぇ。

ささやかな秋の訪れといえば、雲の様子も変わってきます。

20098月15日朝の空

地上近くから、もくもく垂直に空にあがる入道雲は徐々に影をひそめ、天高くに砂地をすっと刷毛で伸ばしたような、絹糸をながーく伸ばしたような白い筋雲、秋の「巻雲(けんうん)」が見えはじめます。

夏雲は岩の如く、秋雲は砂の如く

ああ、またも、そんな感じですね。
こんどは、正岡子規の句です。

和歌も句も、詠み人たちは、季節の変化を静かに愛おしむように眺めているからなのか、その表現が的確すぎていつもおどろかされます。

厳しい暑さ残るころでも、空をみあげて。
もしも、そこに秋の雲が見られるようになれば、夏の高気圧の威力はなくなりつつある証拠。
ああ、やっぱり、夏は終わりにちかづいていて、日々少しずつ秋めいてゆくんだなぁ。

今日はそのスタートの日。
夏を惜しみ、秋を楽しみに待つ、そんな日々の始まりの日です。

◆今日は、2014年8月7日/旧暦7月12日/文月庚戌の日