今日は、西の年中行事、“商売繁盛、笹もってこい!”の「十日戎」。なんで東にはないのかな…と、今日は「勝手恵比寿考」/1/10=旧11/20・丙戌

「商売繁盛、笹もってこい!」

西のえびす神を祀る神社では笹に縁起の宝をぶら下げた参詣客で大賑わい。
今日は、関西人が親しみをこめて呼ぶ「エベッさん」のお祭り「十日戎」です。

エベッさんの老舗神社・大阪今宮戎や兵庫西宮神社などでは、参詣客が延べ100万人を越えるのだそうで、数日前の初詣の賑わい再びあるいはそれ以上に…といった感じなんでしょうねぇ~。

一度、西の「十日戎」に行ってみたいと思いつつ、東北の帰省から帰ったばかりなもんで、なかなか腰が上がりません。

ということで、代わりに谷中七福神で賑わうご近所の「青雲寺」の恵美須さんに会いに出向く。

星雲寺 恵美寿さん

代わりってのが、ちょっと失礼かしら?
ごめんなさぁい。

でもね、関東地方のえびす講は、10月か11月ということもあって、七福神参りが終われば東のえびすさんは静かなもの。

なので、東の住人である私は私なりに、ご近所のエビスさんをお参りしつつ、たとえばエビスさんその人…ではなく「その神」のことを少し調べてみたりしようと思う次第なのです。

エビスさんて、その生い立ちからして波乱万丈のカミサマだったって知ってました?

このカミサマ。

・『古事記』においては、イザナミとイザナギによる第一子として生誕。
しかし、蛭のように骨がなく手足が萎えて、当時の名前は「蛭子神」。
3年たっても立つことができず、生みの親たちに葦の舟に乗せられ流されます。

・『日本書紀』でも、同じくイザナミ、イザナギの子として生まれますが、こちらは、アマテラス、ツキヨミノミコト次ぐ、第三子ヒルコとして生まれ、そのあとに生まれたのが、スサノオ。

神話のスターたちと兄弟として生まれた『日本書紀』でもやはり3年足が立たず、やはり舟に乗せられ海へながされるました。
神話的にも非常に由緒ある生まれのカミサマなのですが、ひとり、不遇なスタートを切ります。

流されて、ジ・エンドとならなかったのもカミサマであってこそ?

ともかく、「蛭子神」は、どこか素敵な場所へたどり着いた?

それがいったいどこなのかは、諸説もろもろ、詳しくは、多くのエビス神の研究書を紐解いていただくとしても、ともかく海にながされ行き着いた場所=異国で手足のリハビリテーションをしたんじゃないか?

だって、よくあるエビスさんのお姿。

東覚寺の恵比寿さん

小脇に鯛を抱えて、釣り竿まで持つ。

エビスさんってたいがいこんなお姿ですが、とても骨がなく手足が不自由には見えませんよね。

その後、「海」つながりなのか、釣り好きのコトシロヌシのミコト(事代主命)のイメージがエビス神に移されて、今の姿になったというのが一般的に語られる説のようですが、そこも一概にコレと言えない諸説いろいろ。

ちなみに、コトシロヌシのミコトは、オオクニヌシノミコト(大国主命)の息子にて、アマテラス(天照大神)を筆頭とする天上の神様たちに国を譲った「国譲り神話」の立役者。
ああ、ここでもずいぶん大物のカミサマと合体させられたものです。

が、エビス神は、「神」より「さん」を呼称につけて、「エビスさん」と呼ばれるほうがすわりがよい。

コトシロヌシのミコトととはもちろん。
一緒に生まれたアマテラスやスサノオともずいぶんと隔たる、なんかずっとひとに近い感じです。
これが、商売繁盛の商業神や漁業、農業の神などとして、庶民の神様として祀られ、広く様々に信仰される人気の秘密なのかもしれません。

ああ、なんて、エビスさんのコトを調べていたら、やっぱし、「十日戎」に行ってみたいなぁ。
どこか近場でやってないかしら?

と調べたら、鎌倉(鎌倉・本覚寺の「鎌倉えびす」)にありました!!
ちょっと名称は違うけど、コレは同じ趣旨のお祭りのはず。

急きょ、出かけてゆこうかなぁ!

◆今日は、2015年1月10日/旧暦11月20日/霜月丙戌の日
◆日の出 6時51分 日の入16時46分/月の出21時31分 月の入 9時27分