七十二候は「寒蝉鳴」に。寒蝉の声は、秋を告げる。そんな日々のさなかに「終戦の日」があって、今日はその関連の一冊を読んで静かに過ごすことにしよう/旧暦7/18・庚子

七十二候は「寒蝉鳴(ひぐらしなく)」の時期です。(8月13日~17日)

暦は「蝉の鳴く頃」と言っています。
ちなみに「寒蝉(ひぐらし)」=「蜩(ひぐらし)」というわけでもないらしく「秋を告げる蝉」の意味

蝉の声は夏の風物詩と思ってたけど…。

蝉

その声が降るように蝉鳴く日々は、もう秋近しなんですね。

となると、そんなに蝉の声を聴いた記憶がない今年は、秋遠し?
…いやいや、あまり外出していないからだろな。(←そう思うことにする。)

秋告げの蝉の声聴く日々のさなか、今日は「終戦の日」。

抜けた青空、蝉の声に玉音放送…。
リアルを知らない戦後生まれは、その日のイメージを、ドラマや映画の断片から掬って安易に記憶した。

しかし、数年前。
TV番組の証言で「焦土となって蝉の声も聴かなかった」と聞いてハッとする。
空からの爆撃とそれによる火災で、蝉たちすらも根こそぎにされたのか。

蝉の鳴かない七十二候「寒蝉鳴」の日々…こっちは、リアルな怖さを呼び覚まします。
知らないということは、暢気なことでもあるけど、こんな風に知ってゆきたい。

だから、この日は、その日をテーマにした書物を紐解き過ごそうかと。
なんでもかんでも読書に関連付けて恐縮です(*’▽’)。

で、今年はこの一冊。

ラビリンス

千代田区一番一号のラビリンス(森達也作 現代書館)

タイトルの「千代田区一丁目一番一号」は、皇居の所在地。

そこにラビリンス=迷宮って、なにかの暗喩?と思って手に取って、本書は、譲位前の天皇と皇后の物語だと知る。
しかもそれが、穏やかなホームドラマのように描かれていて、読者はまずそこに魅了される。
さらに、その物語に並行して「天皇のドキュメンタリーを撮って放送したい」と言い出し四苦八苦する作家の話が描かれて、もう、ただひたすらに引き込まれ、あっという間に読了。

それから数か月たった今、あの物語には、玉音放送を巡る話も登場したなぁと思い出し、今回は、再読である。

ラビリンス

もちろん本作は、小説=フィクション、ファンタジー的な描写すら多数

だけど、時々、是枝裕和監督や山田太郎氏、さかなクンなどなど実在の人物が登場(そもそも、天皇のドキュメンタリーを撮ろうとする作家・森克也は、森達也氏がモデルだろう)。
終戦直前&戦後史もリアルに描かれ、時々、あれあれノンフィクションだったっけ?と心地よい混乱。
ホントに吹上御所の地下深くに秘められていた、ラビリンス=迷宮まで登場。

読者は、そんな物語を楽しみつつも、「終戦の日」以降の日本を、ある視点で眺めて深く考えることになるのである。

ふーむ、これぞ、今日からの読書にぴったりではないかっ!
読みますっ(*’▽’)

◆今日は、2022年8月15日/旧暦7月18日/文月庚子の日/月齢17.4日
◆日の出5時00分 日の入18時31分/月の出20時43分 月の入8時09分